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2006年4月30日 (日)

大学経営の反省と教訓(続)

 一昨日、今日の受験生減少に伴う大学経営の苦境は「逆境でなく自業自得」と指摘した。しかし他方、個々の大学だけでは対応できない大学教育に対する政策・行政上の課題も指摘しなければならない。

 2005年度の文部科学省の学校基本調査によれば、「年度高卒者を含む大学・短大への進学率が初めて5割を超え、51.5%と過去最高となった。同様に、専修学校を含む高等教育機関への進学率は76.2%と、こちらも過去最高となった」。この数字は、大学の入学が容易になっていることを象徴的に示している。

 この大学進学率が上昇すれば、高校生人口が減少しても、受験生数は維持される。大学の定員割れもなくなり、大学経営は安泰と言える。そのためには、高等学校の義務教育化や大学生に対する奨学金の充実などが考えられる。また、社会人の大学や大学院の入学を奨励するための税金などの優遇施策も必要である。このような高等教育の大胆な改革が実施されれば、国民全体の教育水準が向上し、経済社会のグローバル化における日本の競争優位性に貢献すると思われる。これについて、おそらく反対意見は皆無であろう。

 それにもかかわらず、このような教育政策の改革を政府から聞いたこともない。また、大学関係者からも、こういった要望や提案の声を聞かない。その主要な理由は政府の財政赤字であると思われる。教育予算が十分に確保できないという懸念が、そういった政策を最初から断念させてiいるのかもしれない。しかし前述のように、国民全体の教育水準の向上こそが、これから将来に渡っての日本の経済成長の最も有力な保証ではないのか。

 たとえばベトナム国民の高い識字率が、ベトナムに対する直接投資の理由のひとつとして指摘されている。優秀な国民であるから、経済成長の可能性があるという論理である。先進国としての日本も同様である。日本にとって識字率は問題ないとしても、大学生の誤字脱字が増加していることなどを考慮すれば、日本語教育の充実が必要である。さらに英語を含めた国際コミュニケーション能力IT(情報技術)に習熟した豊富な人材が、これからのグローバル経済における国際競争力にとって不可欠であろう。国民全体の教育水準の向上は、多様な形態や経路を通して高等教育を提供する制度改革が求められる。

 現在、教育基本法の「改正」案が国会で審議されている。そこでは「愛国心」が今よりも強調されるようである。その目的が自国中心的・洗脳的な「愛国心」の養成であるとすれば、それは自由や民主主義と相容れない。小手先の「愛国心」の教育改革よりも、政治的・経済的・文化的に世界から尊敬される日本であれば、日本人として自然に日本を誇らしく思えるし、日本人でよかったと思える。このような気持ちが、日本を愛することの内容であろう。愛国心を観念・思想として教えるのではなく、誇りをもって愛せる国に日本をするための具体的な政策や施策が重要である。

 中国や韓国からの反日感情に対抗するための愛国心ではなく、中国や韓国から尊敬・敬愛される国にすることこそが、日本人として日本を誇りに思えることである。それでこそ日本人でよかったと思える。日本を愛することができる。そのためにも、大学を含めた高等教育機関の役割は一層重要となるであろう。なぜなら事実として、日本の大学の留学生の大多数が中国人と韓国人だからである。中国や韓国からの留学生が日本の留学に満足し、やはり日本人は尊敬できるという感情を抱けるような学生交流や教育体制の改革が求められる。

 以上のように、日本における高等教育の必要性は高まっているし、そのための教育改革が求められている。大学に課せられた本来の使命に正面から取り組むことが、現在の大学に期待されていることであると思う。それに対応している大学だけが存続できる。

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2006年4月29日 (土)

ベトナムとホリエモン釈放:報道の自由とは

 昨夜、ホリエモン(堀江貴文被告)が東京拘置所から釈放された。3億円の保釈金を払ったという。このニュースが新聞やテレビで大きく報道されたが、果たして、それほど重要な問題なのであろうか。まるでホリエモンが芸能人であるかのような報道姿勢である。

 ホリエモンの顔を見たからと言って、その真相が究明されるわけでもない。事件の本質を解明するために必要なことを事実に基づいて過不足なく的確に報道する。これは報道の基本だと私は思う。こういう観点から言えば、ホリエモン釈放の報道は過剰である。それほどまでに注目する価値があるのだろうか。もっと国民にとって重要な問題があるのではないか。

 他方、4月25日に第10回ベトナム共産党大会が終了した。これについては日本の新聞各紙が、これまでになく大きく報道した。ベトナム経済成長に注目が集まっていることの反映である。その中での共通点は、ベトナム報道機関の政府に対する率直で厳しい汚職批判が高く評価されていることである。ただし、やや偏見を交えていることが気になる。

 どのような偏見かと言えば、ベトナムは共産党一党独裁の国であり、報道の自由が制限されている。その報道機関が政府批判をしているのは、政府の「やらせ」であるという決めつけである。

 たとえば『日本経済新聞』(4月27日)は、「共産党青年部の機関紙トイチェーは三月三十一日、昨年からくすぶっていた運輸省の汚職事件を糾弾する記事を一面に掲載。これを機に、党・政府に都合の良い情報を流すだけだった他の国営メディアも党・政府の対応の甘さを批判する記事を大きく載せた。政府高官が相次いで逮捕され、運輸相は四月に辞任に追い込まれた。党の内部事情を知る関係者によると、メディアによる政府批判は、党大会を円滑に乗り切るため党指導部が三月中旬に決めた一大汚職追放キャンペーンの一環」と指摘している。

 この記事には、党・政府批判は党の「やらせ」という日本人記者の先入観がある。そうでなければ、ベトナムの報道機関が政府批判などできるはずがないという思い込みがある。上記の「党の内部事情を知る関係者」がどういう人物か知らないが、この人物と私は見解が相違している。私見では、ベトナム報道機関は伝統的に言論の自由を堅持してきた。

 元『トイチェー』新聞記者であり、現在はサイゴンタイムス副編集長チャウ氏に昨年私は会ったことがある。チャウさんは新聞記者の時Dsc02864代、南ベトナム政府出身の子弟が大学入学などで差別されている実態を新聞で批判し、政府に改善を促した経験がある。その当時、同僚の記者は「そんなことを書けば、逮捕される」と心配してくれたそうである。しかし今では、副編集長にまでなっている。写真は、カムラン空港から1時間半ほどのニンチュウ海岸に向かう途上で休憩中のチャウさんである。

 テレビ中継される国会審議では、国会議員の政府追及は厳しく、担当大臣がタジタジという場面が頻繁に見られると言う。これには、通常は国会中継など見ないベトナム人が驚いているほどである。私の経験でも、1998年にハノイで開催された「東アジア経営学会」の雑談の中で、中国人の出席者が「ベトナムは中国より20年ほど経済が遅れている」と指摘したのに対して、ベトナム人の出席者は「しかしベトナムは中国よりも言論の自由がある」と応えたことを鮮明に記憶している。

 このようなことを考えると、ベトナムの報道機関は批判精神を保持して、その社会的使命を十分に果たしているとみなされる。今回の汚職事件の批判記事は、確かに政府の指示やヤラセがあったのかもしれないが、そうでなくても、ベトナムの報道機関は政府批判したであろうと考えられる。

 報道機関が政府を自由に批判できることは、政治権力の暴走を抑制し、国民の意見を代弁する民主主義国家の前提である。多くの日本人は、ベトナムが共産党一党独裁体制の国であることだけで、国民のために「民主化」が必要と即断する。しかしベトナム国民は、それほど性急に強く「民主化」を熱望しているように思われない。なぜなら十分とまでは言わないが、かなり現在も民主的な国家だからである。

 このように考えれば、ベトナムの政治体制は安定的であり、経済活動に対するカントリーリスクは極めて小さいとみなされる。他方、冒頭のように日本の報道機関を顧みれば、かえって日本の民主主義が脆弱化しているのではないかと懸念される。さらに報道の自由を政府が制限・抑制しようとする動きもある。「ベトナムの報道を見て日本の報道を直す」というくらいの謙虚さが必要であろう。

 

 

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2006年4月28日 (金)

大学経営の反省と教訓

 今年の黄金週間が始まった。5月1日と2日を休みにして、9連休の職場もあるらしい。私の場合、5月2日に講義があるので、本来ならベトナム出張したいのだが、そういうわけにもいかない。大学の「古き良き時代」には、こういう日は休講して、別の日に補講すればよかったのだが、最近では休講それ自体が教員給与のマイナス査定になる。受験生の減少期を迎えて、大学も「大変な時代」を迎えている。

 私が大学に勤務して20周年を迎えようとしている。流通科学大学の1988年創設と同時に助教授として就任した。この年に子どもが生まれて、今は高校3年生になっている。この当時から、まさに現在注目されている少子高齢化受験生減少が指摘されていた。しかし、その当時は受験生の当面の増加に対応するために臨時定員増といった対応を大学は迫られた。この定員増は臨時であるから、それを恒常的にするために学部増設が行われた。受験生減少という問題は、遠い先の話としてだれも関心をもたなかったが、それが今は最重要の課題となっている。

 先日の私の講義で、企業の永続的な存続のためには、企業間競争のための短期的な戦略と同時に、社会経済構造の大きな変化に対する長期的な戦略が重要であると学生に話した。すでにブログで紹介したミズノ株式会社・北野さんの講義に対する「まとめ講義」(学生の理解を助けるための補足・解説およびレポート返却を目的とした講義)における内容である。「通常の企業は短期戦略に傾注しがちであるが、それと同時に長期戦略を着実に遂行する企業が永続的に存続できる」という命題である。

 このような観点から、大学経営を顧みれば、受験生減少という長期的な変化が事前にわかっていたにもかかわらず、短期的な受験生の増加に目を奪われて、それに対応できていなかったことが反省点である。今の大学経営の危機と呼ばれる状況に教員が不満を言うとすれば、「それは逆境ではなく、まさに自業自得」なのである(本ブログの映画「逆境ナイン」を参照)。ただし正確に言えば、教育・研究労働者にすぎない教員の責任よりも、大学経営者の責任がより重大である。

 受験生減少に配慮した戦略を当時から考えるとすれば、入学偏差値の高い少数精鋭のエリート大学を目標にすることが選択肢としてあった。受験生減少は日本人学生についての問題にすぎないから、受験生を増加させるためには、英語で教育するコースを当時から設定して留学生を増やすことも早期に準備するべきであった。これ以外にも今から思えば、さまざまな反省ができるが、それらは今から急に対処できないことばかりである。

 歴史の逆行は不可能である。しかし反省には意味がある。少なくとも他国の高等教育機関の経営に対する教訓にはなる。そのためにも、こういった反省について包括的・体系的な記録が残されてもよいと思われる。それぞれの大学における反省点だけでなく、文部科学省の教育行政の問題点もまた抽出・集約されるべきである。

 私にできることは当面、学生のための今後の経営教育に大学での私自身の見聞や体験を活用することであると考えている。

 たとえば少子高齢化、地球環境や資源問題、財政赤字や公共投資の問題など、その問題が顕在化した時には、いずれも急に対応できなことばかりである。これは、大学での受験生減少と状況は同じである。

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2006年4月27日 (木)

ポケット=ティッシュを配る

 駅前や街頭でポケット=ティッシュを配布していることがある。消費者金融の宣伝が多いように思うのだが、受け取る人もいれば、無視して通り過ぎる人もいる。この相違は、今までは受け取る人の性格や気分の相違を反映していると思っていた。しかし昨日、ポケット=ティッシュを配布して、渡す側にも原因があるのではないかと気がついた。

 なぜティッシュを配布したのかと言えば、アルバイトではない。箕面船場ライオンズクラブが大阪府日本赤血液センターに協力して実施する献血活動を宣伝するためである。場所は、カルフールを中核テナントとする箕面市新都心ヴィソラである。献血は、だれにでもできるボランティア活動であるが、健康でなければ丁重に断られる。この意味で、献血は健康のバロメーターである。

 さて、道を往来する不特定の人々にポケット=ティッシュを配布する場合、配布する側の工夫が必要である。まず相手の眼を見る。笑顔で声をかける。受け取りやすい位置にティッシュを持って行く。これで、ほとんどの人は受け取ってくれる。一定の数量を早く配布し終えるといった事務的・機械的な姿勢では、受け取る人も事務的・機械的に対応してしまうように思われる。

 このことは、あらゆるビジネスに共通している。まず笑顔で挨拶して、相手の眼を見て語りかける。こういった働きかけ(=メッセージ)に対して悪い気持ちになる人はいないだろう。そこから商談が始まる。今回の場合、商談ではない。「悪い気持ちになっていない人」に対して、高価ではないにせよ、無料でポケット=ティッシュを提供する。普通なら受け取ってくれる。

 一瞬の出会いで、受け取るか受け取らないかが決まる。ポケット=ティッシュの配布にもコツがいる。笑顔で真剣勝負する。これには、それなりの修行が必要である。

 

 

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2006年4月26日 (水)

ベトナム株式投資のリスク(3)

 日越経済交流センター『日越経済交流ニュース』5月号に掲載予定の拙稿「第23回ベトナム株式投資の魅力と留意点(下・続)」を転載する。「05-2006.rtf」をダウンロード

 この拙稿では、いわゆるオフショア(タックスヘブン経由)の株式投資ファンドに対して、ベトナム当局(財務省および国家証券委員会)が警戒・研究中であることを指摘している。

 たとえば日本ですらオフショア投資ファンドを設定すれば、国税当局は当該投資会社に特別に注目する傾向にある。ライブドア事件のような不正取引の温床になっているからである。本来なら日本の税収になる資金が国外に流出するからである。ベトナム当局も、このような税収の減少を避けたいのは当然である。将来、これらのオフショアファンドに何らかの規制が実施される可能性は高い。

 そのほかに拙稿は「ベトナム・ドラゴン・ファンド」についても私見を述べている。なお、すでに本ブログで記載した内容の一部も含んでいるので、ご了承いただきたい。

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2006年4月25日 (火)

「関西ベトナム友の会」の再出発

 24日(月)午後7時から、ベトナムに関心をもっている人々が集まって、ベトナム料理を食べる食事懇談会が大阪のベトナム料理店ビアホイで開催された。これは「関西ベトナム友の会」の再開という意味をもっている。

 元JETROハノイ所長の朝倉俊雄さん(現インドネシアJICA専門家)が、ハノイから帰国されて神戸JETRO所長をされていた時に、朝倉さんの提案で何ヶ月かに1度、ベトナム料理を食べながら、ベトナムを語るという会を開催していた。これを「関西ベトナム友の会」と呼んだ。事務局を私が担当していた。

 その後、朝倉さんがJETROインドネシア所長に赴任されてから、この会が自然休会していた。しかし今回、この会を再開しようということになった。この会には、女優の三林京子さんや、天神橋商店街の土居年樹会長を始めとする幅広い方々のご出席を賜っていた。もちろん在大阪ベトナム総領事館からも総領事や副総領事が参加されていた。ベトナムという接点で、さまざまな人々の美味しい楽しい出会いがあった。

 今回の食事懇談会は、当初は別の趣旨であった。ホーチミン市のベトナム松下電器において現地社長を長く務められた藤井孝男さんが、ベトナムから大阪に帰国され、さらに4月末で松下電器を退職される。そこで、それを記念した歓迎会・送別会を開催しようということになった。しかし残念ながら、ご急用のために藤井さんに出席していただけなくなった。呼びかけ人としては困惑したが、最初からベトナム好きの親しい方々にお声をかけていたので、主役不在であっても楽しい一時を過ごしていただけると思って開催を決断した。

 食事懇親会にはDsc07461_1、合計12名の方々が出席された。これらの皆さんに感謝である。特にベトナム三洋電機の初代社長・竹岡友昭さんは、群馬県からのご出席であった。竹岡 さんは、ベトナム関係の人気ウェブサイトである「ベトナム雑記帳」を主催されており、ベトナムのご体験をインターネット上で書籍として出版もされている。竹岡さんとは、三林京子さんらと一緒にラオスを旅行したことがあるし、ベトナムで何度もお目にかかっている。

 この食事懇親会を契機にして、「関西ベトナム友の会」を再開し、今後も数ヶ月ごとに集まろうということになった。オープンな会なので、ベトナム料理を食べてベトナムを語りたいという人は、どなたでも歓迎である。次回の開催は、このブログでお知らせしたいと思う。

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2006年4月24日 (月)

大学生の就職のツボ:続続編

 ミズノ株式会社北野周三氏(常務取締役)から新卒採用の要点をお話いただいた。北野さんは最終面接200名を担当され、採用予定は40名ということである。これは東大や京大など難関大学よりも競争率は高い。一流企業の入社の難しさを痛感する。

 さて、北野氏が列挙する採用基準は次の4点である。

 1.面接は、その応対の善し悪しが問題ではない。饒舌に話しても内容が伴わなければ無意味である。他方、トークは下手でも、その内容があれば評価できる。

 2.今までどんな日常生活(学生生活)を過ごしてきたか。これが最重要である。それが最も知りたいことである。

 3.以上のようにして、今まで20数年間に育(はぐく)まれてきた「人間性」を見る。

 4.そのために大学生活は目標を持って有意義に過ごしてほしい。必ずしも学業だけではない。その生き様を面接ではアピールしてほしい。

 以上のポイントは、4回生にとっては「もはや手遅れ?」という内容であるかもしれない。しかし人間、特に青年は何かの契機があれば、自己を激変・変身させることができる。これまでの私の経験でも、3回生までは内向的な性格の学生が、いくつかの会社の就職活動の経験を通して、顔つきまで変わって別人のように自己主張するようになった実例がある。このように就職活動は人間を成長させる。

 大学4回生の前期は就職活動のために、研究演習(ゼミまたはセミナー)の出席者は皆無のことが多い。もちろん私たち教員は、その時間は1人でも出席者があれば、1対1で指導するつもりであるが、なかなか学生は出席しない。この対応として、出席を厳格に取り、欠席者には単位を認定しないという方法もある。しかし私は、このような対応を採用していないし、それに反対である。なぜなら前述のように、就職活動に専念することが人間的に成長する契機になることもあるからである。

 北野氏が指摘する「人間性」重視の採用方針は納得できる。この「人間性」の中で何が重要かと言えば、ともかく信頼・信用できる人間であることが最優先であると思う。そもそも、信頼・信用できない人間に仕事を任せられないではないか。

 また「目標を持って有意義に過ごす」ことが、重要であることは普遍的である。たとえば大学新卒に限らず、新入社員にとっても、毎年の目標または課題を設定することは重要である。それを達成・解決するために頑張る。これは、中途採用に応募して「転社」する場合も重要であろう。

 さらに目標を持つことは、PDCA(P:PLAN=計画、D:DO=実行、C:CHECK=確認、A:ACTION=行動・改善)サイクルの基本でもある。目標がなければ、計画も立てようがない。このサイクルを繰り返すことで、自己の人間的な成長が期待できるということであろう。目標もなく計画もなく、ただアルバイトだけで時間が過ぎていくという大学生活を過ごしていて、人間性が涵養されるはずがない。

 ただ私と北野氏の意見の相違は、アルバイトの評価の相違である。このブログ(4月13日)で書いたように、アルバイトを真剣にやれば、大学生が社会人学生に転化するということである。アルバイトでも人間性を向上・成長させることができると私は思う。もちろん、目標もなくただ時間を切り売りするアルバイトでは、そういった成長は期待できない。

 いずれにせよ、就職は人生にとって大きな出来事である。悔いのない活動を通して、自己を成長させてほしいと思う。

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2006年4月23日 (日)

ミズノ創業100年:日本と世界でスポーツの歴史を拓く

 4月22日(土)午後、流通科学大学実学講義21世紀の業界展望」において、ミズノ株式会社・常務取締役・北野周三氏のご講義を賜った。北野さんは、順調に成長続ける中国ビジネスのご担当であると同時に、人事担当も兼務されており、現在は新卒採用のためにご多忙である。この土曜日は出勤日ということであったが、お仕事の合間を縫って来学していただいた。参考:http://www.mizuno.co.jp/

 私は、この実学講義を担当して4年目になるが、今年度は初めての試みとして、講義終了後に記念写真を撮ることにした。Dsc07445 講師の方々には、お疲れのところ申しわけないが、少しお時間を取っていただくことをご容赦いただきたい。こういった写真は、学生にとって一生の記念になる。学生であるからこそ、多様な企業の経営幹部の方々と一緒に並ぶことができる。また、この講義での北野さんとの出会いが、学生のミズノ製品に対する新しいイメージを確実に作ったと思う。そういった知的な発見や感動を社会人になっても持ち続けてほしい。この写真を通して「一期一会」の意味を学生に考えてもらいたい。このような願いを込めての写真である。

 さて北野さんは、ミズノ株式会社の歴史・概要・マーケティング戦略・中国ビジネス・新卒採用方針までを幅広く説明された。それらを通してミズノの特徴は次の4点であることが理解できた。①1906年創業以来、創造的な新商品開発を継続し、オリンピックを始め日本そして世界のスポーツ界を先導してきた。②企業倫理・経営理念・CSR(企業の社会的責任)を企業経営の中心に据えてきた。③地球環境保全スポーツ振興・健康増進のための商品開発や企画を積極的に推進している。④世界市場に対応した経営グローバル化を実践している。

 これら4点はいずれも、21世紀を迎えた日本企業が対処しなければならない重要な課題である。多くの企業は、企業競争に直接関係する①に傾注しがちであるが、ミズノはそれ以外の課題にも的確に具体的に取り組んでいるように思われた。これは、スポーツ業界のリーディングカンパニーであるからこそ可能であるのかもしれない。

 「カッターシャツ」と命名したのはミズノであり、その語源は「勝った~シャツ」。これを聞いただけで、ミズノ創業者・水野利八氏が、才気溢れる起業家であったことがわかる。現在の高校野球を初めて主催したのも同氏である。今日のリーディングカンパニーであっても、当初はベンチャー企業であった。このような歴史を詳細に見れば、今日のベンチャー企業が存続するための共通した必要条件が発見できるに違いない。

 2006年4月にミズノは創業100周年を迎える。スポーツ業界の老舗と言えるのであるが、北野さんの講義を聞いて、それらしさを感じさせない。若々しい先進的な企業イメージである。これは、スポーツに関係する青少年を中心にしたマーケティング戦略を採用しているからである。しかし日本の少子高齢化に対して、どのように対処するか? 長寿の高齢者層に対して、どのようにマーケティングするか? これが今後のミズノの課題であるように思われた。 

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2006年4月22日 (土)

ベトナム株式投資の教訓(3)

 ベトナム株式情報について、インターネット上での日本語の情報は少ないとは言えない。このココログでも「ベトナム投資奇行」というブログが、日本ブログ大賞2006マネー大賞を受賞している(参照:http://vkabu.cocolog-nifty.com/vkabu/)。

 さらに、ベトナム株式市場や証券会社の情報については、www.asianstocks.info/vn/main.htmが詳しく紹介している。また、ベトナム全般の経済・社会・生活情報としては、いくつかの日本語サイトが存在している。たとえばwww.hotnam.com/。さらに多様な情報を文章で読みたければ、日越経済交流センターの『日越経済交流ニュース』の定期購読を勧める(問い合わせ:「JVEEMAP.doc」をダウンロード )。

 このような情報は、ベトナム株式投資において不可欠である。たとえば「BRICsの株式投資がいいですよ」と証券会社の営業担当者が言えば、その勧めに応じて投資する。しかしブラジルやインドのことは何も知らない。このような投資家が多いのではないか。そういう投資家は、おカネが儲かればよいと思っているが、意外と損をしている。かなり高い手数料や成功報酬を支払っているからである。自分で勉強して自分で投資する。自己責任が株式投資の大原則である。

 そこでベトナム株式投資の教訓(3)として、4月4日の(2)に続いて次の2点を指摘する。

 6.ベトナム株式・経済の最新情報は日本語でも入手可能である。それらを読んで、ベトナム全体の動向を把握する。自分で情報を収集する。自分で口座を開設する。自分で投資ファンドを選択する。自己責任の原則を忘れない。

 さらに昨日紹介したように未公開株式の株式取得は、外国人には一般に困難であるが、高収益が期待できる。その方法を模索すべきであろう。ハイリスク=ハイリターンの醍醐味をベトナム未公開株式で楽しみたい。そのためにどうすればよいか? いずれ、このブログで情報公開したいと思う。

 7.ベトナム未公開株の取得は魅力的である。有力な国有企業の株式会社化(=株式売り出し)が連続して待機している。これを取得するための情報に敏感になる。機会を逃さない。

 たとえばTECHOM BANKは、すでにイギリスを拠点とする世界大手の金融グループHSBC銀行が10%の株式を所有している。この未公開株式の売り情報が私の手元に来ている。ベトナム国家銀行(中央銀行)は、ベトナムの銀行経営を強化するために、外国銀行の株式所有比率の上限を10%から20%に引き上げるように政府に要望している。ただし外国人株式所有の上限は49%である。この要望が認められれば、上海香港銀行を含めた外国銀行が同行の株式を購入し、株価上昇が期待できる。

 なお前回(4月4日)のブログで、ベトナム株式の額面価格は2種類と紹介したが、それは誤りであった。全部で次の5種類である。①1万ドン、②10万ドン、③100万ドン、④500万ドン、⑤1千万ドン。たとえば上記のTECHCOM BANKの額面価格は1株あたり500万ドン(約3万5千円)である。

 ベトナムにおける最高の額面価格は約7万円である。このような高額の株式が発行される理由は、その投資家を法人・高額所得者・機関投資家に限定したいからであると推察される。そうであるとすれば、発行企業が安定株主を期待している。この場合、こういった高額株式の売買は低調と言えるかもしれない。したがって値上がりの期待は低くなる。他方、高額の額面であるほど株式分割の機会は多くなるから、株価上昇の機会も多くなる(これは「ベトナム株式投資の教訓:5」(4月4日)を参照)。果たして、どちらが妥当な見解であろうか。

 楽観的な予想では、上記のような高額株式は、新株発行以降も株式発行が何回か繰り返され、その度ごとに株価が上昇する。上昇が見込めない場合は、株価上昇のために株式が分割される。そして上場時には、一般株主が購入しやすい株価に落ち着くと考えられる。

 このような推理が楽しめるのも、新興国ベトナムの株式投資だからこそである。

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2006年4月21日 (金)

ベトナム株式投資の懸念を払拭する

 ベトナム株式市場が活況である。この株価上昇について、企業実態を反映しない「バブル発生」という見方がある。さらに外国投機資金の流入が株価上昇の原因であるから、その資金の引き上げによって株価下落もありうるという見解もある。

 確かに上場企業については、外国人投資家の投資金額の増大によって、過剰に株価が上昇している可能性がある。しかしそれは、ベトナム企業成長の期待値の高さを示しているのであって、「バブル」とは言い難いと私は判断している。もっとも利益確定のための売却もあり、短期的な株価下落はありうる。ただし長期的な株価上昇の基調に変化がないと思われる。

 さらに「ベトナム・ドラゴンファンド(VDF)」が第2次募集を5月に予定している。このような外国資金がベトナム株式市場に流入すれば、さらなる株価上昇が期待できる。したがって日本の構造変化を伴うような「バブル崩壊」といった懸念はないであろう。あくまでも循環的な変動とみなされる。なおVDFについては次を参照。www.capital.co.jp/

 未公開株式の売買については、簡単に外国資金が関与できない。外国からの資金送金は可能であるが、未公開株式に対する投資は「相対取引」であり、その情報は証券会社の「コネ」に依存している。さらに重要なことは、ベトナムの証券会社に外国人が口座を開設したとしても、未公開株式については売買利益を外国に送金できない。未公開株式を売買する公式の店頭市場が未整備なのである。そこで公式の店頭市場の設置がハノイで準備されている。

 この未公開株の株価が、やはり急上昇している。たとえば株式公開を目前にした「サイゴン商業銀行(SACOM BANK)」は、 4月18日に1株70,500ドン(1ドン=16,000ドンとして4.41ドル)であったが、4月20日には92,000ドン(5.75ドル)になっている。わずか2日間で30%の上昇である。こういった未公開株式は、前述のように通常の外国人投資家の購入は難しい。したがってベトナム人投資家が売買していると推測される。

 ベトナムは「口コミ」社会である。株式投資で実際に儲かったとなれば、では私もという高額所得者が必ず存在している。たとえば昨年12月の「ベトナム石油油井採掘会社」の株式発行時の平均入札価格は14,000ドン程度であったが、現在の売買価格は42,000ドンである。4ヶ月間で3倍の値上がりである。それを聞いたベトナム人は、それでは株式に投資してみようということになる。

 未公開株式について言えば、前述のVDFのような外国投資ファンドはそれを購入できる。また外国送金も可能と言うことになっている。投資信託などを運用・管理する証券管理運用会社が証券会社とは別個に設立されており、そこから外国送金できるからである。ただし、ケイマン諸島やバージンアイランドなどの第3国のペーパーカンパニー経由による節税取引について、ベトナム政府当局は研究(警戒)している。不正取引の温床になる可能性があるからである。何らかの規制が課せられるリスクもある。

 なぜそうするのかといえば、ベトナム国内の証券業を育成するためである。外国証券会社などが本格参入すれば、大量の資金がそちらにシフトする。他方、WTO加盟の条件として、アメリカは金融・証券業の自由化を要求しているから、このような証券規制実施の有無は流動的である。国内の証券業を保護・育成しながら、徐々に外国証券会社に市場を開放するというプロセスが理想である。しかしグローバル経済の圧力は、そういった時間的な猶予を与えないという見方もできる。

 なお、VDFのようなファンドが所有する大量の未公開株式を相対取引で一気に売却することは無理である。したがって、未公開株の株価下落は当面考えられない。また通常、未公開株は株式上場までは持続保有されるのが一般的である。以上、未公開株式の売買価格は順調に上昇するとみなされる。

 このように考えれば、ベトナムの株価動向は、株式市場の本来の機能を表現している。国内・外国の余剰資金が株式市場に向かい、それが株価を上昇させる。その上昇した株価によって企業は資金調達が容易になる。それが企業成長・経済成長に貢献する。このような期待を込めて企業実態からやや乖離した高株価が示される。

 これに対して日本で流行の「デイ=トレーディング」こそ、マネーゲームそのものである。同じ株式投資をするなら、マネーゲームの日本よりも、ベトナムの経済成長に確実に貢献するベトナム株式に投資したいと私は思っている。

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2006年4月20日 (木)

ヘルシーカンパニーとは?:(株)ワールドの先駆的役割

 4月19日(水)、私が担当する「実学」講義科目である「21世紀の業界展望」において、アパレル最大手企業(株)ワールドを母体とするワールド健康保険組合・常務理事の安倍孝治さんにご講義を賜った。  

 写真は、講義終了後の記念写真である。学生は主に2回生。本講Big21義は、さまざまな業界における企業経営幹部の方々をお招きして、今後の企業経営のあり方を探るという趣旨である。それによって学生の職業観を涵養するという目的もある。少子高齢化・人口減少・経済のグローバル化・財政赤字(=増税)・地球温暖化・CSR(企業の社会的責任)重視といった経済社会環境の大きな変化に対して、どのように各企業は対応しているのであろうか。当面の企業間競争と同時に、これらの潮流に的確に対処する企業が21世紀に存続できると私は考えている。本講義では、これらの各企業の最新情報が提供される。

 安倍さんが常務理事に就任された8年前、(株)ワールドの健康保険料率は1000分の86であった。これを従業員個人と会社が折半する。それが今日では、1000分の47になっている。これは会社にとって累積10億円の経費削減効果があったことを意味する。もちろん従業員の保険料「天引き」額も減少されるのだから、会社だけでなく従業員もハッピーである。そして何よりも健康な従業員が働くからこそ、その会社にも活力が出てくる。顧客サービスの向上にもつながる。

 従業員自身の健康増進のみならず、さらに「元気な家族は元気な会社を作る」というスローガンの下に家族の健康にも配慮されている。このようにして医療費が減少し、それに伴って保険料も減少する。いわゆる「予防医学」に個人だけでなく企業全体が積極的に取り組むことによって、医療費の負担を軽くすることができる。このような会社が「ヘルシーカンパニー」である。

 こうしたワールド健康保険組合のような試みが、多数の企業、さらに地方自治体、さらに国全体に拡大されれば、日本における医療費の負担は軽減され、財政赤字の解消にも貢献する。ただしそうなれば、医療機関の経営悪化が懸念される。健康だから病院に行く必要がない状況が生まれるからである。しかし私見では、これまでの治療医学から予防医学に経営の重心を移動させればよい。同時に、われわれ一般の国民は、治療のためではなく予防のために病院や医院に行くようにする。もちろん、それを誘導するために医療制度・保険制度の改革が必要であろう。

 安倍さんのご講義で、21世紀の新しい企業像を具体的に想起することができた。また安倍さんは「古武道」の達人であって、学生を相手に「」の実演をしていただいた。私は電気のような「気」を感じることができたが、その感じ方は受け手側で様々に変化するそうである。

 盛りだくさんの知見を提供していただいた安倍さんに改めて感謝を申し上げたい。なお『公衆衛生情報』(2006年3月号、pp.11-13)は、(株)ワールドの「ヘルシーカンパニー」を特集している。

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2006年4月19日 (水)

とみ新蔵『柳生連也武芸帖』:何のために生きるのか

 『朝日新聞』には「コミック教養講座」という独自の連載記事がある。そこでは、注目される最近のマンガ(=コミック)が紹介・批評されている。いわば「マンガの書評欄」である。この記事で、とみ新蔵『柳生連也武芸帖』(第1~5巻、リイド社)が取り上げられた(2004年11月14日)。これについては、次を参照。http://book.asahi.com/comic/TKY200503110290.html

 この書評を私は読んで、このコミックの存在を知り、そして購入しようと思った。なぜなら、それが人生、つまり人間の生き様を考えさせてくれると期待されたからである。その期待は裏切られず、それ以降の私の愛読書になっている。

 本書の主人公は、表題どおり柳生連也である。彼は、けっして完全無欠の英雄として描かれていない。たとえば「ゴルゴ13」のような冷徹な人間ではなく、泣いたり笑ったり怒ったりする普通の人間である。もちろん天才的な剣技は圧倒的であるが、他方、女性に心を奪われ、肉親や弟子との人間関係に悩む。彼が悩むほどに、彼を取り巻く剣豪・女性が魅力的である。主人公が輝くためには、やはり脇役や敵役がコミックでも重要であることがわかる。

 上記の書評によれば、「本書の骨子は、連也の求道的生涯を描くことによって、剣の道の精髄を詳(つまび)らかにすることにある。日本刀のメカニズム、達人ならではの身のこなしの秘密、優れた兵法たる新陰流における数々のセオリーが平易かつ微細に描出されている点で本書は他に類がない。とみ新蔵の正確でしなやかで力強い画力と、剣術への並々ならぬ興味と探求心の賜物(たまもの)と思う」。

 さらに「至上の剣術家とは無心である。あらゆる欲と妄執を捨て去り、究極には大気に溶け、人の目から透明に見えるほどになる、という。兵法たる新陰流は総合生活術であり、剣の道もエコロジカルであることを本書から学べる」と述べられている。

 ライブドア事件でホリエモンの「カネのために生きる」生き様を見た。たくさんカネがあって困る人はいないから、ホリエモンに憧れがあって当然であった。しかし私は、何のためにカネが必要なのかを問うた。その人のカネの使い方で、その人間性が理解できると指摘した。つまりカネは手段であって、その人間が目的とする生き方は別にあるという意味である。

 「何のために生きるのか」。これは大学生にも考えてほしいが、私のような中年世代も考えるべき永遠のテーマである。柳生連也の生き方は、俗人にはマネができないけれども、共感をもてるほどに人間的な存在である。人生を考えるとき、老若男女を問わずに読んでもらいたいコミックである。

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2006年4月18日 (火)

日越経済交流センター:新しい理事長と新しい事務所

 4月17日(月)午後に「日越経済交流センター」の平成18年度第1回理事会が開催された。フォン大阪総領事にご臨席を賜り、ご挨拶を頂戴した。そして新しい理事長に森正暁さん(全国交運共済生協理事長、前西日本旅客鉄道労働組合委員長)が就任された。

 この新しい理事および監事の名簿は、次の通りである。「JVEELIST.doc」をダウンロード  これまでの理事長であり、当センター創設者の人見美喜男さんは会長となり、今後もセンター全体の運営について助言をいただくことになった。

 ちょうど本日(18日)から、ベトナム共産党第10回党大会が開催されている。ドイモイ政策20周年を迎えて、新たなベトナム首脳の人事決定が期待されている。それと時期を同じくして、新しいセンターの出発である。以上のように理事長も新しくなったが、場所も新しくなった。これまでのJR環状線・天満駅から大阪北の中心地(JR大阪駅から徒歩5分、阪急梅田駅から徒歩3分)に移転した。住所・連絡先・地図は、次の通りである。「JVEEMAP.doc」をダウンロード

 写真は、新しい事務所で挨拶する森理事長である。森さんと前理事長の人Dsc07442_3見さんは、JR西日本(旧国鉄)の労働組合の委員長を経験されたが、それぞれの組合は別組織であり、時には路線の対立関係にあったという。その両氏が「日本ベトナムの交流・友好」という一致点で手を結ばれたのである。また森さんは、人見さんのベトナム戦争反対・平和と民主主義の主張と運動には、今でも深い敬意を表されてる。このように考えれば、ベトナムは不思議な国である。ベトナムの人々・風土・歴史に接した日本人が、ベトナムという舞台で競演・共演するようになる。そこから新しい出会いが生まれる。ベトナムとは、そういう国である。

 上記の写真の右側の窓からは、旧国鉄の跡地に立つ「ヨドバシカメラ」のビルが見える。理事会後に森さんは私に「国鉄、国民の財産であった国鉄が、ヨドバシカメラに代わってしまった」。未だに納得できないような感慨深い表情と口調で述べられた。

 私見では、国鉄は赤字であったが、その資産は明治時代から営々と積み上げられてきた国民の財産である。今とは違った財産処分の選択肢(たとえば都心の緑地帯にするなど)があってもよかったのではないか。また「赤字がけしからん」と言うなら、大阪市を始め、日本政府それ自体が赤字財政である。国鉄だけが赤字ではなかった。

 JR西日本・福知山線の列車事故から4月25日で1年を迎える。「赤字がけしからん」と国鉄は批判されて、それに対応するために国有企業から株式会社化され、さらに真面目に経営効率化が推進された。それが、事故原因の背景にあったとすれば、そもそも国鉄の民営化とは何だったのか。その意義が歴史的に検証されるべき時かもしれない。

 歴史の後戻りはできない。しかし未来のために歴史を教訓にすることはできる。日越経済交流センターの新旧理事長の交代を契機にして、そんなことを考えた。

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2006年4月17日 (月)

ベトナム株式市場の現状と発展方向

 6月10(土)・11日(日)に獨協大学において「証券経済学会第65回全国大会」が開催される。共通論題は「証券規制の新潮流」である。私は自由報告論題「ベトナム株式市場の現状と発展方向」を10日(土)午前中に報告予定である。その概要を以下で示す。

 新興国株式投資の対象国としてBRICsが注目されている。それでは「BRICs+ワン」はどこか。海外直接投資における「中国+ワン」はベトナムが筆頭候補であると認識されつつある。そうであれば、次の有望な株式投資先はベトナムである。そこで本報告は次の順序で、ベトナム株式市場の現状や課題を紹介し、その発展方向を検討する。

 1.ベトナム株式市場の現状:ホーチミン市証券取引所の上場企業は35銘柄であり、日本人名義の個人投資家数は百数十人と言われている。他方、ハノイ証券取引所では店頭市場銘柄が取引される予定であるが、その法的規則は本年度の国会で成立の見込みである(参照:www.asianstocks.info/vn/main.htm)。現在の未公開株の売買は裁量的である。

 2.ベトナム株式市場における投資家の動向:日本人投資家向けのベトナム投資ファンドとして、「ベトナム=ドラゴン=ファンド=リミテッド(VDF)」(キャピタル=パートナーズ証券)(参照:www.capital.co.jp)が販売中であり、「ベトナム民営化ファンド投資事業匿名組合」(ユナイテッド=ワールド証券)が投資募集を締め切ったばかりである(参照:www.uwg.co.jp)。また日本人による独自のベトナム投資ファンドが準備されつつある。さらにベトナム人の株式に対する認識や投資家の状況が紹介される。

 3.ベトナム株式投資の魅力と可能性:本年11月に首都ハノイでAPECをベトナムは主催する。さらに年内にWTO加盟は確実と予想される。このように国際社会で安定的な地位を同国は占めている。また政情不安やテロの危険性も最小である。さらに中国やインドに比較して所得格差も小さい。このように低いカントリーリスクと高い経済成長率(年7%以上)は、長期・安定的な株価上昇が期待できる。

 4.ベトナム株式投資のリスクと留意点:投資リスクとして、株式市場に流入する資金不足、一般ベトナム人の株式に対する認識不足、投資ファンドの過大な資金量、為替リスク、政府の突然の政策変更などが指摘できる。これらについて説明した後に私見を述べる。

 5.ベトナム株式市場の発展方向:アジア開発銀行(ADB)の支援の下に国家証券委員会(SSC)は株式市場発展の長期計画を作成している(Byoung-Jo Chun, Shigeko Hattori, Xuechun Zhang, Jin W. Cyhn and Bui Trong Nghia, Viet Nam Capital Market Roadmap: Challenges and Policy Options, Asian Development Bank, September 2003)。これは、2003~2012年までの政策目標を指摘している。この概要の紹介とともに、ベトナム経済・株式市場の展望について私見を述べる。なお関連資料は当時に配布する。   

 以上の報告を質疑応答を含めて60分間で行う。司会は丸淳子先生(武蔵大学)、討論者は原田喜美枝先生(中央大学)である。次の機会に報告の模様を紹介する。

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2006年4月16日 (日)

『的だけを見据えて射よ』!!

 『的だけを見据えて射よ』!!これは、UCLA・映画学科(脚本プログラム統括)教授・リチャード=ワォルター氏が生徒に教える要点のひとつである(雑誌『VISA』2006年5月号、コミニケ出版・VISA編集室、p.20)。彼は映画の脚本執筆について大学で講義しているのだが、そこで上記のことを強調する。

 ワォルター教授は「1944年、ニューヨーク生まれ。南カリフォルニア大学卒業後、フリーランスで脚本や小説などを執筆。'77年、UCLA・映画学科の教授に就任。以後、優秀な人材を多数、映画界に送り出してきた」という略歴である。

 「脚本は絶対にトレンドを追ってはいけません。映画界の流行だからといって小手先だけで脚本を書いても、それは二番煎じにすぎないのです。私は生徒に「的だけを見据えて射よ」と教えます。例えば、友人でもあるジョージ・ルーカスの『スター・ワォーズ』の脚本は、当初あまりにも荒唐無稽で誰も相手にしませんでした。しかし彼はパッションをもって、その世界を完成させていったのです。」

 これは映画の脚本についての「命題」のようなものだが、ビジネスにも応用可能である。ビジネスで成功するために「トレンドを読め」とよく指摘される。これは、鳥の眼=マクロの視点、蟻の眼=ミクロの視点に加えて、魚の眼=潮流(トレンド)の視点を持つことがビジネスで重要だと言うのと同じである。(参考:竹内宏『竹内宏の「蟻の目、鳥の眼」経済学』1991年、PHP研究所。)

 しかし「トレンドを追ってはいけない」のである。トレンドを追うことは「二番煎じ」の追随者の考え方である。もちろん追随者が成功する場合も多いし、その市場の規模拡大のために追随者が重要な役割を果たす。しかし追随者が成功する条件は、そのトレンドが長く継続することである。顧客の嗜好・価値観が多様化し、それが短期的である場合、追随者の成功も一時的である。また、追随者の地位に安住していれば、その企業の経営能力の向上に役立たない。新しい商品・サービスの独自の企画力・開発力が養成・保持されていないと、その企業の長期的・持続的な成長は期待できない。

 では、どうすればよいか。トレンドに迷わされずに、そのトレンドの水源を見つける。その水源を「的」として射る。うまく的中すれば、新しいトレンドを自分で創造することができる。トレンドに流されることなく、そのトレンドが発生する水源を確認し、その水源を自らの方向に導くことを考える。こうして新しいトレンドが開拓される。

 以上のポイントは、トレンドの水源を発見することである。トレンドの方向性を予測するだけでは不十分である。トレンドの水源を確認する。それができれば、周囲を気にせずに、水源に向かって前進あるのみ。そうすれば、自分でトレンドを作り出せる。これが創造的な仕事の基本的な考え方と言えるかもしれない。

 二番煎じでない創造的な仕事の成功の秘訣は、以上のように映画でもビジネスでも、さらに研究でも共通して応用可能であると思う。

 

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2006年4月15日 (土)

ベトナムと「餃子の王将」の深い関係!!

 「餃子の王将」(箕面半町店)の餃子と生ビールが今日の昼食であった。同店は、(株)王将フードサービスが食材と経営ノウハウを提供するフランチャイズ=チェーン加盟店の1店である。同社は、1人前180円という圧倒的なコスト=リーダーシップをもっている。つまり「王将」と同様の味とボリュームの餃子を他店で食べるとすれば、少なくとも250円~300円が必要だ。これほどの低価格は、他店に対する強力な競争優位性を「王将」が確保していることを意味する。

 実は、この「餃子の王将」とベトナムには少なからず深い関係がある。なお、フランチャイズ=チェーン(FC)については、たとえば、http://jfa.jfa-fc.or.jp/を参照。また、コスト=リーダーシップについては、たとえば以下を参照。www.nri.co.jp/opinion/r_report/m_word/cost_leader.html

 「東アジア経営学会」が1998年9月にハノイ国家大学で開催された。この当時の同学会・会長は野口祐教授(当時、慶應義塾大学商学部)であり、そこで望月邦彦氏(当時、(株)王将フードサービス会長)が、「王将」の経営戦略について講演された。せっかくの講演だからということで、そのベトナム語の講演録の作成を筆者がお手伝いした。翻訳者は、貿易大学のビン講師であり、現在は一橋大学大学院に留学中である。

 この当時、私は国民経済大学・経済発展研究所の客員研究員であり、ハノイに在住していた。そこで、この学会開催をハノイ国家大学のガー先生と一緒に準備した。ガー先生は国際関係部長であり、専門は自然科学分野。具体的な私の仕事は、ベトナム側が資金不足というのでトヨタベトナム(当時、長谷川社長)に後援をお願いしたり、日本側からビザが未だ入手できないというので、ベトナム側に催促したりすることであった。

 ここでベトナム学会開催における独自の慣行を体験した。驚くべきことに、ベトナム人参加者のための「お車代」が必要であった。歓迎パーティとなれば、その食事代も主催者負担である。まさに「アゴ足つき」でなければ、学会に人が集まらない。ただし最近のJICA主催のセミナーなどは、必ずしもそうではなくなっている。ベトナム人の生活に余裕が出てきた証拠である。

 さて上記の望月氏の講演録によれば、「王将」には社員が独立するための融資制度がある。将来は独立して一国一城の主になれる。だから社員の労働意欲は高い。同じフランチャイズ=チェーン形態のコンビニなどでは、加盟料が高額のために不満が多い。しかし、(株)王将フードサービスの場合、加盟店の売り上げ増加が、同社が提供する食材の販売増加に連動しているので、多額の加盟料を必要としない。同社が加盟店に対して販売促進のための多様な材料やノウハウを提供している。

 「王将」で餃子を食べると、ふと望月さんのことを思い出したり、ベトナム滞在当時のことを思い出す。以上、私にとって、「王将」とベトナムには少なからず深い関係がある。

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2006年4月14日 (金)

ベトナム人留学生が学術交流集会を主催

 本年11月4日と5日に、第3回日本ベトナム学生科学交流集会(VJSE 2006: The 3rd Vietnamese-Japanese Students' Scientific Exchange Meeting)が、神戸大学・六甲台キャンパスで開催される。これは、日本全国のベトナム人留学生が中心となり、日本人やそのほかの国の留学生を交えて自然科学・社会科学分野の研究成果を発表し、参加者相互の交流と友好を促進するという内容である。

 第1回と第2回は大阪大学で開催されており、今回は初めて神戸大学が会場となる。ベトナムから教授5名が招聘されるほかに、日本在住の多数の研究者が、助言者・コメンテーターとして参加の予定である。主催者は、神戸ベトナム青年学生協会である。同協会のHIEP会長(神戸大学大学院国際協力研究科・博士後期課程2回生)からの協力依頼があり、もちろん快諾した。

 昨年の「VJSE 2005}の様子については、次のホームページを参照。www.svhandai.org/vjse2005/ 

 文部科学省のデータによれば、外国人留学生数は109,508人(2003年5月1日)であり、その出身国は、中国(64.7%)・大韓民国(14.5%)・台湾(3.9%)・マレーシア(1.8%)・タイ(1.5%)・インドネシア(1.4%)・ベトナム(1.2%)・アメリカ合衆国(1.2%)・バングラディッシュ(0.9%)・モンゴル(0.7%)・その他(8.2%)である。 

 日本の留学生の圧倒的多数は中国人である。ベトナムは第7位である。そのベトナム人留学生が、全国規模の学術交流集会を主体的・自主的に開催するというのである。さすがにベトナムである。ベトナム人留学生の組織力・独自性・研究意欲を十分に発揮している。

 現在、一般企業や団体組織からの後援(資金提供)を求めている。後援者になれば、この集会のポスターやホームページに名前やロゴを掲載することができる。このような集金体制もベトナム人らしい工夫である。この件についての問い合わせは、vjse2006@gmail.com (事務局)まで。

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2006年4月13日 (木)

アルバイト学生が「社会人学生」に変身?

 3月末に1回生(新2回生)が研究室を訪ねてきた。この時期の相談となると、退学したいとか留学したいとかの話である。予想通り退学の相談であった。

 2年前にも退学の相談があった。競艇の選手養成学校に合格したので、そちらの方で勉強したいという進路変更が理由であった。競艇選手の収入は悪くないし、競艇選手試験も難しいそうである。大学で再び勉強したいと思う時は、再入学の制度もあるし、社会人入学の制度もある。この学生の場合は「レースで勝ったら連絡してよ」と言って承認の印鑑を快く押した。彼自身の人生の選択である。

 しかし冒頭の学生の場合、少し事情が違った。今している仕事が面白いし、忙しくなってきた。だから退学したいと言うのである。学生4名が中心となった仕事であるが、さらに社会人の出資者がいるらしい。勉強よりも仕事が面白い。だから仕事をしたい。これなら理屈は通る。

 そこで私の質問。「その仕事の毎月の収入はいくら?」、「社会保険などどうなってるの?」。この学生は解答不能になった。「学生の中の1人が大学を卒業するので、その学生が会社を設立する予定です」という答えが返ってきた。確かに今年の5月から「新会社法」が施行され、会社設立は容易である。ただし当然、会社設立したからと言って、収入が保証されるわけではない。「その会社で社会人として生活ができるのか? その見込みはあるのか?」と質問したら、再び解答不能の状態である。

 さらに追い打ちをかけて、「ところで4Pって知ってる?」。「知りません」。「こんなん、マーケティングの基本やで」。「そんなことも知らんで、仕事できるん?」。「- - -???」。「とりあえず今日は、退学届け出さないで帰ります」。「そやな。もう一度、よう考えてみ」。こんな会話をした。(注:実際には、すべての会話が関西弁で行われているが、この部分についてだけ参考のためにオリジナル言語である。なお、マーケティングにおける4Pについては、たとえば www.mitsue.co.jp/case/concept/01.html を参照)。

 この会話の中で、次のような先輩学生の実例も紹介した。もともと行動力もあり、礼儀正しい学生であり、普通に就職すれば、かなり難関の大手企業にも就職できたはずだ。優秀な学生であるからこそ、大学の勉強よりも実際の仕事に関心が高かったのかもしれない。大学3回生くらいから「××主任」といった名刺をもって営業活動のために大阪市内を動き回っていた。卒業後は、そのままその会社で働ける予定だった。しかし4回生になって、この会社に本採用というような時に会社の業績が悪化し、残念ながら君の採用はできなくなったと言い渡される。

 上記の事情は、会社経営者に悪意がなかったと思いたいが、邪推すれば、うまく大学生を利用するだけ利用する雇用形態を意味している。この学生は、最初はアルバイト学生であったが、しばらくして「社会人学生」に変身したとみなされる。ただし大学生であることには変わりないから、社会的な身分は不安定である。

 大学生をアルバイトとして採用する場合、その学生を「社会人学生」の気分で働かせるようにする。それが意欲を向上させる。私が経営者ならそうする。そのために社会人並の責任ある仕事も任せる。優秀な学生なら、それに的確に対処できる。「将来、大学を卒業したら当社で働いてくれ。それまでは少し給与は安いけど我慢してくれ」。こうなれば、学生は社会人気分である。普通の大学生よりも早く社会で活躍している気分になる。俺の仕事は、学生のアルバイトではないという優越感(実は錯覚)をもつようになる。その結果、仕事中心の生活となり、その合間に大学に来るようになる。アルバイト学生が立派に「社会人学生」に変身した。

 冒頭の相談に来た学生は、大学から仕事に関心が移ったから退学しますという。しかしその必要はない。仕事が面白ければ、仕事をすればよい。ただし「社会人学生」として勉強を続ければよい。今の仕事を続ければよいのだから、就職活動の心配もない。ただ問題は、その仕事が本当に将来性があるのか、将来に後悔しないのかということである。この見極めは、なかなか大学生にはできない。この学生は、仕事に対する認識が不足していた。クラブ活動の延長で仕事を考えていた。それでは仕事も成功しないだろう。だから大学で勉強する意味がある。

 大学生でありながら、大学生活の中で次第に「社会人学生」に変身する。アルバイトが契機になる場合もあるし、友人と一緒に事業を始める場合もある。後者は「学生ベンチャー企業」である。最近の学生はアルバイトばかりやって勉強しないと批判するのは簡単だが、それだけでは現状は変化しない。アルバイトを強制的に禁止するというのも現代の風潮に合致しない。

 そうであるなら、アルバイト学生を逆にプラス評価して、立派な「社会人学生」に変身させる教育をするのである。職業意識の高いアルバイト学生を養成するのである。大学生の間に「社会人学生」に変身すれば、その学生は即戦力になりうる。就職活動では、それをアピールできる。

 以上のような教育をする大学があってもいいし、少なくともそういう大学教授がいてもよいと思う。これを実現するためには、学生のアルバイト先を大学側が訪問するなどして、両者が協力しなければならない。これは、流行している「学生インターンシップ」の日常化である。アルバイト先企業=インターンシップ引き受け企業。この位置づけで大学として指導する。就職率も必ず上昇するだろう。この私のアイデアについて、ご批判・ご意見を歓迎する。

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2006年4月12日 (水)

上田ゼミ版『面接の達人』レポート

 昨日、第1回目の上田ゼミナールがあった。4回生は就職活動のために出席者は数名という状況であった。この中で面接が順調に進んでいて、すでに内定を2社からもらっている余裕の学生に話を聞いてみた。以下では、その話を要約して、就職活動における面接で成功するための要点を指摘してみよう。

1.元気さが一番。具体的には最初の挨拶と笑顔。この第一印象で採否の大部分が決まる。

2.一次面接は、大学時代に何をしてきたか?これを話す。これは必ずしも大学内に限らず、クラブ活動やアルバイトの話でも良い。正直に答える。綺麗ごとを言わない。もちろん正直といっても、常識の範囲内である。たとえば「学業に力を入れてきました」と言うと、いろいろ突っ込まれて話が続かなくなる。

3.自分の個性を発揮する。「きみ頭いいのか?」と聞かれて、自信をもって「頭は良くないです」と答えたら、「そんな答えは初めてです」と言われて逆に話が弾んだ。これを「普通です」と答えたら、少しも面白くない。印象に残らない。

4.質問には的確に答える。知らないことは知らないと返事する。ダラダラとしゃべるのは良くない。目の動きで感情がわかる。嘘か本当かが区別される。

5.筆記試験の準備は十分にする。某大手上場企業で面接の順位はトップに近かったが、筆記試験の結果にバラツキがあり、それがネックになった。大手企業はバランスのよい能力を求めているのかもしれない。筆記試験は高学力は必要としないが、準備の有無の影響は大きい。

6.大人と話す練習をする。話す態度や面接の態度に好感をもたれるためには、日頃から年上の人や先輩などに対して余裕をもって普通に話す練習をする。一見、態度が「デカイ」ようだが、落ち着いている。学生気分を脱して大人として付き合える。こういう印象を与えることが重要。

7.運動部や上下関係の厳しい部活の経験は、営業に役立つ。礼儀正しくなり、言葉遣いも丁寧になる。

8.希望業種は予め決めないで、いろいろ会社訪問する。就職活動の今だからこそ多様な業界を無料で勉強する機会が提供されている。このような気持が、会社を訪問する原動力になった。

 以上の新4回生の学生の話を聞いていると、特に難しい面接ノウハウは必要ないようだ。普通の大人として、普通の大学生として自信をもって面接に臨めばよい。

 ただ私が追加で強調したいことは、採用の要点は「信用できる人間かどうか」ということである。ベトナムのビジネス相談でも、相手のベトナム人が信用できるかどうかが最大の問題である。ビジネスで信用が重要なことは世界共通である。ベトナム人に限らず、日本人も同様である。

 このように考えれば、就職活動の学生に最低限必要なことは、「私は信用できる人間です」ということを面接担当者に理解してもらうことである。そのためには時間厳守は当たり前だし、面接における自分の発言に責任をもつことも必要である。さらに誠実さを態度や行動で表現することも不可欠だ。いくら学力があっても、いくらお金や権力があっても、いくら口がうまくても、どこか信用できない人間は存在する。そういう人間を、私が経営者なら絶対に採用しない。

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2006年4月11日 (火)

ベトナム雑貨店・ZENMA:阪急岡本駅すぐ

 先の日曜日、ベトナム雑貨・アオザイ・喫茶の店ZENMAに行った。阪急神戸線・岡本駅・北改札口より、わずか5秒の場所である。かつては線路沿いの住宅であったが、今は小物や雑貨の店がいくつか並んでいる。その中の1店である。詳細は、www.come-beyond.com 。

 阪急の岡本駅からJR摂津本山駅の周辺は、甲南大学・甲南女子大学・神戸薬科大学の学生の街であり、もともとオシャレな雰囲気をもっている。喫茶店やレストランも一般に高級感がある。その岡本駅の北側すぐがZENMAである。この店で、私が指導しているベトナム人大学院生のフンさんがアルバイトを3月末までしていて、その彼女が紹介してくれた。メールで「オーナーが『チーズフェア』をするので来てくださいと言っています」という連絡が数日前に来た。

 「チーズフェア」?? ベトナムにチーズがあったのか??という疑問と好奇心が店に足を運ばせた。ベトナムには、ビナミルク、ダッチレディ、ハノイミルクといった乳製品の製造会社がある。かなり前にホーチミン市近郊のダッチレディ社を訪問したことがある。周辺の契約牧場から牛乳を調達するといった話をお聞きした。ベトナムのチーズと言うなら、オランダの合弁企業であるダッチレディ製かな?と予想していた。

 ZENMAに行って謎が解けた。フランス・イタリアのチーズの割引販売をしていて、それに併設してベトナムのダラット産のワインを飲んでいただくという趣旨であった。なるほど納得である。ベトナム製ワインはすでに国内でも販売されているが、今まで飲んだことはない。私は赤ワインを飲んだが、軽い感じで飲みやすかった。

 ベトナムではビールが水代わりである。私は1998年のベトナム滞在当時、昼食時からビールを飲む習慣が身についたが、最近は飲まないベトナム人も増えたように思う。ビールが水代わりは私の都合の良い「思い込み」になっている。次第にベトナムも仕事優先社会になってきた。率直に言って少し寂しい。

 これに対してワインは、テトなどで一般に飲まれるが、それは主にフランス製である。ボルドーなどのブランド品をお土産代わりにして知人宅を訪問する。ベトナム人の人気レストランでもビールよりワインを飲むのがリッチな雰囲気でかっこいい。フランス=パンとフランス=ワイン。植民地時代から現在も残るベトナムの慣習であると思う。ただしベトナム製ワインが「ブランド」としてベトナム人自身に定着するためには、かなり時間を要するだろう。現在のワインは、かっこ良さを求めて飲まれている。そのためにはフランス製でないとダメなのである。ベトナム人の「見栄」の意識は、なかなか変化しないのではないか。

 ダラットは1994年に初訪問して以来、再訪を果たしていない。ただし、高原野菜やゴボウを日本人が栽培しているとか、ホーチミン市の野菜供給地であるとか、日本の大手商社がリゾート開発を計画しているといった話は聞いている。ベトナム国産のイチゴの産地でもある。また、新婚旅行のメッカである。高級ホテルも整備されており、かなり観光地として国際化してきたと想像される。最近の様子を見てみたいと思う。

 ZENMAは1階では雑貨やバッグ・衣料品を販売し、2階ではベトナム女性の民族衣装アオザイが展示され、その注文・採寸ができる。通常のアオザイは、化繊の薄い生地が一般的であり、それがまた天女の羽衣ような軽やかさを表現する。しかし日本で着ると、やや安っぽく見える欠点がある。

 ベトナムのアオザイには、様々な種類がある。私は、ビロードのような厚手のシルク生地に大きな刺繍を施したアオザイが好きだ。これはベトナムでは、やや年配の女性が着ているが、若い女性が着ると実際の年齢よりもエレガントに上品に見える効果がある。もちろん値段は、かなり高くなる。日本の女性も、このようなアオザイを着こなして欲しい。中年男性の勝手な要望である。

 ZENMAオーナーの岩村さんにお目にかかり、ダラット産の赤ワインを飲みながら、いろいろベトナム談義で盛り上がった。お店は主に奥様に任せていると言われていた。ベトナムの話題で盛り上がるのは、数少ない私の楽しみであり、貴重な情報交換の機会である。岩村さんとは、よろしく今後ともおつきあいを願いたいと思う。

 なおZENMAの名前の由来をお聞きするのを忘れていた。ベトナム語ではないように思うのだが、どんな意味なんだろう。店名だけでも、いろいろ話ができる。こういう時間が楽しい。

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2006年4月10日 (月)

「治安維持法」と「共謀罪」

 先日、「治安維持法」犠牲者・国家賠償要求同盟・大阪府本部の藤木博顕さんのお話を聞く機会があった。

 治安維持法とは、1925(大正14年)に制定され、たとえば「国体を変革する目的、私有財産制度を否定する目的で団体を組織したり、その団体に加入すること」によって懲役10年以下に処すといった法律である。1928年(昭和3年)の緊急勅令によって罰則強化があり、国体変革の目的の場合、役員・指導者について懲役10年以下が、死刑または無期懲役になった。

 この条文の中で「私有財産制度を否定する」という内容は、古典的な社会主義の概念である。ただし現代の日本でも、公共事業のために個人所有の土地が強制収用されたりしているから、私有財産が必ず尊重されているかというとそうでもない。それよりも「治安維持法」の主眼は、1928年の緊急勅令で強調されているように、「国体の変革」を目的とした思想や運動を取り締まることであった。

 この「国体」とは、若い人のために説明すれば、兵庫県で今年開催予定の「国民体育大会」という意味ではない。いわゆる「国家の体制」すなわち明治憲法下の「天皇制」のことである。この「国体の維持」にこだわったために無条件降伏の受諾が遅延し、日本は戦争被害を増大させた。

 この時代背景は、2003年に公開された本木雅弘主演の映画『スパイ・ゾルゲ』を見れば具体的にイメージできる。この「ゾルゲ事件」の15年以上前に「治安維持法」が制定されている。この映画の冒頭で本木雅弘が裸にされて「特高警察」に竹刀で殴りまくられるシーンがある。また三谷幸喜の舞台・映画『笑の大学』も同時代であり、そこでは「笑い」自体が取り締まりの対象になった。

 この法律が最も危険なことは、以上の刑罰それ自体ではなく、そういった思想を禁止したことである。簡単に言えば、考えただけで処罰の対象となる。現代の憲法から見れば、思想信条の自由を制限しており、その法律を制定すること自体が政府の犯罪(=憲法違反)とみなされる。さらに、こういった思想や運動について相談すること自体を弾圧する条文が含まれていた。この相談を調査するためにスパイや盗聴は当然とみなされた。また「治安維持法」違反者に対する拷問は当たり前になっており、取調中の虐殺死は80名に達した。

 前述の藤木さんによれば、現在の国会で、これと同様に「相談を取り締まる」ための「共謀罪」が継続審議中だそうである。「テロ組織など国際的組織犯罪取り締まり」が目的であるが、この法律の特徴は、実際に犯罪を実行する「法益侵害行為」がなくても、その「意思」や「思想」を処罰できることである。犯罪が発生しなくても、そういった相談をするだけで逮捕される。逮捕するためには証拠が必要なので盗聴・スパイ・密告などの監視社会が容認される。これは憲法で保障された「基本的人権」の重大な脅威になる。藤木さんらは、この「共謀罪」が戦前の「治安維持法」の復活であるとして反対運動をされている。

 私も反対に賛同するが、一般の国民には、あまりにもこの法律の危険性が知らされていない。このような思想を取り締まる法律に反対しなければならない理由は、かつての「治安維持法」の教訓を想起すればよい。最初は共産主義者だけが罰則の対象とされて、自分は関係ないと思っていても、次第に逮捕者の範囲が拡大し、その後は宗教家・民主主義者・自由主義者などが逮捕され、最後は思想的な背景のない普通の人々も逮捕の対象とされた。たとえば「戦争は嫌だ」というだけでその人は逮捕される。そして結局だれも自由に発言できなくなってしまった。

 このような「共謀罪」をめぐる最近の政治動向に私たちは注意しなければならない。その法律の実態や問題点が広く議論・認識されるべきである。そのために新聞・マスコミの役割は極めて重要である。

 なお韓国では、この「治安維持法」による逮捕・投獄者には、民族独立運動に貢献した愛国者として大統領が表彰し、懲役1年以上の犠牲者に年金を支給。本人が8月15日以前に死亡した場合は、子ども・孫に遺族年金を支給している。他方、日本政府は、この「治安維持法」犠牲者に対して、韓国人のみならず日本人に対して謝罪すらしていない。こういった犠牲者にとって戦争は終わっていない。

 戦争に反対するだけで逮捕される。政府に反対するだけで逮捕される。そういう相談をするだけで逮捕される。盗聴・密告・スパイが当たり前になる。こういう時代の再来に反対である。ただ、日本人の「長いものに巻かれろ」といった昔からの国民性、最近の若い人々の「周囲から浮くことを嫌う」傾向を考えれば、十分に警戒してし過ぎることはない。戦争を準備するためには、それに反対する思想を予め取り締まる。これも「治安維持法」からの教訓のひとつである。

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2006年4月 9日 (日)

対ベトナム中古車輸出

 ベトナムのWTO加盟に対応するように、ベトナムの中古車輸入の新しいルールが決まった。日本の中古車をベトナムに輸出したいという相談もあるので、以下で簡単に紹介する。輸入条件は次の通りである。

 1.ハンドルは左側(日本と反対)。

 2.走行距離は10,000KM以上。

 3.2001年以降の工場出荷(製造)年。登録年ではない。

 輸入税金とVAT税金の合計は下記の通り。
*5 Seat以下*
1.0 リットル以下   3,000 USD
1.0 -1.5リットル  7,000 USD
1.5以上 -2.0      10,000 USD
2.0 - 3.0           15,000 USD
3.0 - 4.0           18,000 USD
4.0 - 5.0           22,000 USD
5.0以上              25,000 USD
*6-9 Seat*
2.0リットル以下    9,000 USD
2.0 - 3.0          14,000 USD

 以上の関税と付加価値税をみれば、ベトナム政府が自動車数を抑制しようとする姿勢が推測できる。それでもベトナムで自動車は売れる。マイカーを持てば手放せない。自動車の「魔力」である。すでにマイカーブームを予想して、市内の駐車場建設が儲かるといった話が昨年から出ている。さらに本年6月からホンダ=ベトナムが、オートバイに加えて4輪自動車「シビック」をベトナムで製造・発売する予定である。まだまだベトナム自動車市場は拡大するという予想である。

 トヨタ=カムリ、それにホンダ=シビックは、ベトナムで現地生産をしているために交換部品も入手しやすいという理由で中古車としても人気が高い。さらにレクサスも人気があるそうである。そのほかにSUV(Sport Utility Vehicle:スポーツ汎用車)が人気だそうである。だたしランボルギーニのようなスーパーカー以外の一般のクーペは人気がない。

 そのほかにベトナムで人気のある車体のカラーは黒。白は人気がない。より詳しい情報を入手したい方は、日越経済交流センターまでお問い合わせ下さい。ベトナムの自動車市場の動向を見ていると、もはやベトナムは発展途上国ではない。

 さらに私見では、未確認であるが、ラオス・カンボジアを介在させた中古車の輸出・輸入ルートが開拓できるような気がする。もちろん密輸ではなく正規ルートである。これらの国々とベトナムには緊密な関係があり、何らかの特例などがあるように直感的に思う。調査する価値があるかもしれない。

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2006年4月 8日 (土)

中・南東欧の貿易促進研修セミナー :疲れた !!

 3月7日(金)は終日、JICA兵庫国際センターで「国別特設:中・東欧海外貿易振興政策コース」の講師を務めた。この研修は、JICA兵庫国際センターと(財)神戸国際協力交流センターが委託契約を結び実施された。感想は「疲れた」。

 このJICA研修の対象は、次の11カ国の研修生11名であった。そのいずれもが( )内の政府機関に勤務している。アルバニア(経済・貿易・エネルギー省)、ボスニア=ヘルツェゴビナ(対外貿易会議所)、ブルガリア(経済・エネルギー省)、コソボ(経済・財務省)、マケドニア(対外投資庁)、クロアチア(外務・欧州統合省)、モルドバ(経済・貿易省)、ルーマニア(ルーマニア貿易促進センター)、セルビア=モンテネグロ(国際経済関係省)、ウクライナ(経済省)。これらの国々の中でコソボは自治区のために地図では明示されていない。研修生に尋ねて位置を教えてもらった。

 私の講義の前半は、起業に関する事例について議論し、その後に経営戦略の基本概念を説明した。後半は、各国の輸出戦略を策定・明確化するために、各受講生に自国のSWOT分析の結果を発表してもらって、その後にコメントを加えるという形式を採用した。

 SWOT分析は、各企業(個人・組織・国家)のS:Strength(強み)、W:Weakness(弱み)、そしてその企業の外部環境に関するO:Opportunity(好機)、T:Threat(脅威)を主観的に要約すること意味しており、新たな経営戦略やマーケティング戦略を策定するための現状分析に利用される。詳細は、たとえば、http://www.tdb.co.jp/marketing/mark02.html を参照。

 研修生の国々に共通したS(強み)は、低い労働コストであった。これは、ほかのEU諸国と比較して、これらの国々が低いという意味である。たとえばベトナムの最低賃金が50ドル少しと私が説明すると、「それは安い」という驚嘆の声があがった。しかしベトナムからEU諸国まで、たとえば製造部品を輸出するわけにはいかない。物流コストや在庫コストの問題が発生するからである。そこでEU進出の日系企業の部品供給基地として、これらの国々は有望であるという結論になる。

 この研修コースの使用言語は英語である。下手な英語を駆使して私は頑張ったが、残念ながら、日本語で考えていることの60%ぐらいしか英語で伝えられない。そうであれば、思っていること(=伝えたい情報量)を約1.7倍にしておけば、その100%を英語で伝えることができる。

 このことを換言すれば、日本語で無口な人は英語ではもっと無口ということである。日本語で饒舌な人は英語ではちょうどよいということである。最近、小学生から英語教育を導入するという文部科学省の新方針が発表された。この反対意見として、最優先すべきは母国語教育であるとか、英語は手段であり、より重要なことは伝える内容であるという主張がある。

 私見では、すべての言語は人間と人間の(場合によっては人間と動物の)コミュニケーションの手段にすぎない。言語よりも重要なことは、コミュニケーションそれ自体である。たとえ無言であっても、たとえば画家のメッセージはその作品を通して他人に伝えることができる。さらに「目は口ほどにものを言う」という先人の言葉もある。この意味で、当面必要なことは、より広い内容を含んだ国際コミュニケーション教育の充実・強化である。必ずしも英語教育に限定する必要はない。

 そうは言うものの、もっと英語を勉強しようと、いつものことながら、英語で講義した直後の私は痛感する。ただし研修生からは、いくつか「笑い」を取れたし、私にとって疲れたけれども楽しい講義であった。

 今回の研修生の国々のイメージは、必ずしも良くない。これは研修生自身が述べていた。戦争・紛争・内戦のイメージである。しかし実際には、すでに政治的に安定しているし、治安も悪くないそうである。そうであれば、これらの国々に対する日本人のイメージは偏見や先入観に基づいている。これらの国々の研修生に接しただけで、それらに対する私のイメージは改善された。

 同様のことは、少し前のベトナムやカンボジアにも当てはまる。戦争や地雷のイメージがあった。しかし、これらの国を訪問すれば、訪問前のイメージが変わることは間違いない。

 このような体験を多くの日本人にしてもらいたい。もっと、これらの国々のことを知ってもらいたい。そこで次のようなセミナーが今回の研修生を講師として開催される。より多くの人々に参加を勧めたい。なお研修生のほかに、神戸大学大学院経済学研究科・吉井昌彦教授、矢崎総業(株)・内山弘之・常務取締役が講演される。特に内山氏は、ルーマニアとウクライナに企業進出された経緯や現状を説明される予定である。このような先発企業が成功すれば、その後に多くの日本企業が続く。これは、ベトナムの事例が証明している。

 貿易・投資セミナー:南東欧への投資の魅力

 日時:4月20日(木) 14:00~17:00

 場所:JICA兵庫 ブリーフィングルーム(2階)

 主催:JICA兵庫国際センター、(財)神戸国際協力交流センター。

 後援:JETRO神戸貿易情報センター、神戸商工会議所、大阪商工会議所、(社)神戸貿易協会。

 

 

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2006年4月 7日 (金)

流通科学大学・大阪オフィスから

 3月6日午前中に、日本ベトナム経済交流センターで、ベトナム投資の相談を受けた。その後、大阪・梅田第4ビル、19階の流通科学大学・大阪オフィスに来ている(午後4時)。

 部屋には数名の4回生がいたが、いずれも真剣な表情だ。紺や黒のリクルートスーツも似合ってきた。エントリーシートに書き込んだり、電話で訪問のアポをとったりしている。4月になって、私のゼミ学生の中には、2つ目の内定をもらった学生もいる。昨日、指導教員の印鑑が欲しいという連絡があったばかりの学生もいる。今年の就職は、かなり好調のようだ。景気回復は間違いない。

 この大阪オフィス、10:00~18:00のオープン。土曜日も同じ時間で開いている。コーヒーやお茶をセルフで飲めるし、常時「面接の達人」などのビデオが放映されている。またラジオのFM放送が流れていたりする。私は、こういうリラックスした雰囲気が、新たな気力が湧き出る源泉だと思う。

 18:00の10分前にオフィス集合。そこから1杯飲みながら、友達と1日の就職活動を振り返って情報交換して帰宅する。でも、こういうことを繰り返していると、いくらお金があっても足りない。神戸方面の在住者が多いので、交通費だけでも馬鹿にならない。でも、こういう機会があれば、元気が出ると思う。10数年前の「バブル経済」の頃は、交通費や食事代を支給する会社もあったのだが、それは遠い歴史上の伝説になった。

 ビデオ「面接の達人」で、中谷彰宏氏の声が聞こえてくる。「1次面接も2次面接も面接者が聞きたいポイントは同じ。これまで何をしてきたのか。これから何をしたいのか。話す内容は同じ。ただし話す相手で話し方は違ってくる」。彼の主張は、面接方法は一般にマニュアル化できないということだ。各自の個性が違うのだから、一般化しても意味がない。話す内容を自分で具体的に考えることだ。「今までに何をしてきたか。これから何をしたいか」。

 就職活動がマニュアル化できないということは、ビジネスでも同様であろう。たとえばベトナムで成功するポイントは何か。それは一般化できない。会社の条件や経営者の性格も異なっている。ただし最低限、考えなければならない留意点がある。それに配慮して、その後は自分で考えてください。そしてまた相談に来てください。相談に来られている間はよいが、もう自分でできると判断すれば、足が遠のく。それで、うまくいけばよいが、ベトナムを甘く見てはいけない。何かの時のために常に相談のルートを作っておかれたらよい。日本ベトナム経済交流センターでは、そのような意味を含めて『日越経済交流ニュース』(月刊)の定期購読をお勧めしている。

 他方、大学生は、いつでも就職課や指導教員に相談に行ける。私の場合、卒業生でも相談は大歓迎である。学生が社会人になれば、私の方も教えて欲しいことはたくさんある。攻守逆転。学生から教えられることは多い。就職活動を無事に通過し、卒業して社会人になって、さらに長い関係が続けられればと思っている。

 私の隣でインターネットしている女子学生、やはり真剣な雰囲気だ。成功を祈っている。GOOD LUCK!!

 

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2006年4月 6日 (木)

感動とお笑い大作「逆境ナイン」

全力でない者は死すべし!!

逆境とは、思うようにならない境遇や不運な境遇のことをいう!!

偉大なる先人の言葉を教えてやる。『知らぬが仏』!!

これは逆境じゃない。『自業自得』よ!!

偉大なる先人の言葉を授けてやろう。その言葉を胸に刻みつけろ。 『それはそれ』!!『これはこれ』!!

無茶は承知の上。男の3つの条件がそろったとき、男は無茶を承知で戦うんだ。3つの条件? ひとつ。男はイザというときにはやらなければならない!! ふたつ。今がイザというときである。そしてみっつ。おれは……おれたちは男なんだッ!!

お前がやったこと。すべてをひとことで言えば、『恋に恋して恋気分』!!

男の魂(たましい)。カキッ!! 充電完了。いくぜ!!

 以上のような数々の「名言」と「迷言」を散りばめたDVD『逆境ナイン』を見た。素直に面白い。ナンセンスな笑い。荒唐無稽。マンガチック。超B級作品。WBCで盛り上がった野球人気。春の選抜高校野球の時期にタイムリーな野球賛歌。これは久々に大笑いできて、感動して、元気の出る映画だった。元仮面ライダーの藤岡弘の校長先生も適役だ。ぜひゼミ学生にも見てもらいたい。

 この映画の詳細は、http://www.gk9.jp/

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2006年4月 5日 (水)

ベトナム驚愕のドミナント戦略:G7マート

 先週3月30日(木)午後2時から、ホーチミン市のチュン=グエン=コーヒー社の本社を訪問した。残念ながら日本で知り合った副社長タオさんは体調が悪く、副社長秘書のカンさんにお話を伺った。その後にタオさんから「ごめんなさい」という電話があったから、文字通りに体調が悪かったのだと思う。以前のブログで紹介した気管支系の病気でないことを祈っている。率直に言って本当に、ベトナムの大気汚染は深刻な事態になっていると思う。ともかく早急の調査と対策が望まれる。

 さてコーヒーショッDsc07360プのチェーンストア展開で大成功した同社は、ホーチミン市の中心部に写真左のような本社ビルの建設を計画している。チュン=グエン=コーヒー店それ自体は、同業のハイランド=コーヒーに猛追されているのが現状であるが、業界の先駆者は常に革新を追求する。昨年には、チュングエンよりも高級ブランドのG7というコーヒーショップを出店し、それの次に同社は、小売店のチェーン展開を計画している。名前は、G7マート。副社長のタオさんによれば、本格的な物流センターを建設し、一気に全国展開を進めるということであった。

 秘書のカンさんによれば、中規模なスーパーマーケットを500店舗、コンビニエンスストアを5,000店舗を今年4月~5月に一気に展開する。フランチャイズ方式の店舗ですでに1年前から準備しているそうである。これまでの年間売り上げは、ホーチミン市だけで約400億ドン(=約2800万円)。コーヒー店500店舗の中で直営店は5店のみであり、そのほかはフランチャイズである。このことは、G7マートの場合も、フランチャイズの運営管理ノウハウは蓄積しているということを意味している。ただしコーヒー単品の小売とスーパーやコンビニでは、その仕入れや商品管理・販売ノウハウは別個に考えたほうがよい。

 それよりも驚くべきことは、ベトナム全土で一気に店舗展開するということである。この戦略は常識外である。通常は、少しずつ様子を見ながら徐々に店舗を増やす。まさにスーパーマーケットとコンビニにおいてベトナム全土に対する「ドミナント戦略」である。

 注: ドミナント戦略とは、小売業がチェーン展開をする場合に、地域を特定し、その特定地域内に集中した店舗展開を行うことで経営効率を高める一方で、地域内でのシェアを拡大し、他小売業の優位に立つことを狙う戦略である。http://www.jmrlsi.co.jp/menu/yougo/my04/my0411.html

 ベトナムのビジネスは模倣が多い。たとえば人気の海鮮料理店があれば、その隣に類似の名前を付けた海鮮料理店が開店する。建設ブームでレンガの価格が上がるとなれば、レンガをみんなが作り始めて、結局は供給過剰で値下がりする。こういった事例が多々あった。このことを考慮すれば、他社に模倣されないように、最初から大きな投資をして、一気にベトナム全土で優位性を発揮する。このようなドミナント戦略がベトナムで有効であるかもしれない。最初から他社の追随を許さない戦略である。当然、多数の店舗を持つことから、大量の仕入れによる仕入れコストの下落が期待できる。販売価格の優位性も追求できる。

 果たして、このG7マートの戦略は成功するのであろうか。次回の訪問時に、より詳しく戦略を聞いて、さらにその動向を紹介してみよう。私見では、ベトナム最大の店舗展開という既成事実があれば、たとえばWTO加盟に伴って近い将来に外資流通企業の進出規制が緩和された場合、セブンイレブンやローソンといった世界の大手企業との業務提携などが有利になる。このように考えれば、今回のような先行投資は大きなリスクが伴うが、必ずしも無謀ではない。

 なお、このチュン=グエン=コーヒー社の社長は、コーヒー産地のボンメトート出身で、医学部の学生だった。2000年「企業法」の成立は、民間企業の発展促進の政策をベトナム政府は推進する意思表示であったが、その優等生が同社である。ベトナム民間企業の成長のシンボル的な存在として、多数のTVやマスコミが紹介してきた。この意味で、同社の新たな挑戦は注目される。さらにその成否は、ベトナム流通業界の将来を占うことになるであろう。

 Tax 30日の夕方にお目にかかったJETROホーチミン市の中野所長によれば、現時点で流通外資に市場開放した場合、ベトナムの地元スーパーで生き残れるのはコープマートぐらいではないか。グエンフエ通りのTAX国営百貨店(写真左)は、コープマートに比べて約10%程度価格が高い。コープマートは地元の民間スーパーとして健闘している。さらに、すでにコンビニでは24時間営業の店舗が6店ホーチミン市にある。本格的なコンビニの展開も時間の問題という状況だそうである。この意味でG7マートの展開は時宜にかなっている。私見では、ベトナム人消費者は価格や品質に敏感であり、口コミで値段を教え合うことも多い。他方、流通システム全体としての低コスト化や合理化は今後の課題である。ベトナム人消費者に適応した小売業はどのような形態か。G7マートの展開は、その実証という意味もある。

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2006年4月 4日 (火)

ベトナム株式投資の教訓(2)

 ベトナム株式投資の教訓2点は、すでに2月2日の本ブログで紹介された。すなわち(1)外国人が「良い会社」と思っても、ベトナム人が「良い会社」と思わない株式購入は慎重にする。ベトナムのことはベトナム人に聞く。(2)あまり外国人が知らない「マニアック」なベトナム株式には手を出さない。今日は、これらに続いて次の3点を指摘する。、

 現在、本年1月のハノイミルク社の未公開株は1株32万ドンであった。額面10万ドンの株式である。ハノイミルクは、業界最大手のビナミルク社に比べて知名度は低いが、独自商品として乳幼児向けのミルクがあり、それが強みである。ビナミルクの株価上昇に連動してハノイミルクの株価も上がると予想されている。ベトナムの人口構成はピラミッド型。近い将来、人口8,200万人が1億人になるだろう。食生活の西洋化はますます進む。牛乳関連業界の発展は間違いないと考えられる。

 このハノイミルクの株式配当が今年7月に予定されている。配当性向は30%であり、これを受け取れば、購入価格は1株29万ドルに下がる。このために現在のハノイミルク株式の売却希望はまったくない。配当金を受け取るまで持続保有することは、日本でも普通の事例である。そこで教訓である。

 3.未公開株式の購入では配当予定にも十分に配慮する。配当後の値下がりが予想されるが、ベトナム株式市場の全体的な右肩上がりの動向を考えれば、この値下がり時は「買い」である。

 このような未公開株式の売買情報は、現在は証券会社によって行われている。ただし証券会社の中には、こういった情報提供のコスト=パーフォーマンスが悪いために未公開株の取り扱いを中止する会社もある。未公開株式を集中して売買する公式市場がハノイで設立される予定であるが、それは今年の国会で成立予定の証券取引所法などの施行を待たなければならない。

 このハノイミルクの株式公開の「幹事証券会社」はベトコンバンク証券である。そこで当面、多様な未公開株を購入するためには、それに対応した複数の幹事証券会社との取引と友好関係をもたなければならない。 

 4.複数の証券会社との取引実績をもって、多様な情報収集のルートをもつ。その延長上で未公開株式の売買の情報を提供してもらう。

 もっとも個人投資家の場合、複数の証券会社との取引は、口座維持料の負担が大きくなる。証券会社の系列でない独立系投資ファンドの場合なら、以上の教訓4は効果的である。

 ハノイミルク上場時には株式10分割が予定されている。つまり1株=10万ドンの株式が1株=1万ドン・10株に転換される。このことで1株の株価が下がり、より多数の買い注文が期待される。その結果、株価は上昇する。ライブドア事件の株価つり上げの手法と同じ趣旨である。しかしそれ自体は日本でもベトナムでも合法であり、まったく問題ない。ベトナム株式の額面は1万ドンと10万ドンの2種類である。そこからの教訓は、

 5.ベトナムでも株式分割が可能であることを考慮すれば、額面10万ドンの株式購入が望ましい。将来の株式分割に伴う値上がりが期待できるからである。

 以上、合計5点の教訓となった。さらに新しい教訓があれば、適時追加したいと思う。

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2006年4月 3日 (月)

映画「THE 有頂天ホテル」を見た

 かなり封切りから遅くなったが、三谷幸喜監督・脚本「THE 有頂天ホテル」を家族で見に行った。そのテンポの早い展開は目を離せない。これまでに三谷作品ではレンタルDVDで「笑の大学」を見たが、やはりそのテンポの早い笑いが特徴であった。この両作品に役所広司が主演。彼がもっている真面目な笑いの雰囲気は三谷作品にうまく調和している。観客を笑わせるためには、笑わせる側の芸人が笑ってはダメだと言われているが、この意味で、まさに役所広司は適役である。ディズニーランドやUSJといったテーマパークに行く感覚で「三谷ワールド」に遊びに行った。こういう満足感がある。

 国会議員役の佐藤浩市は、偽メール事件の民主党・永田前衆議院議員を想起させた。人相の悪い悪役イメージの佐藤浩市が本当の選挙で当選するのかは不明だが、永田前議員は佐藤浩市の代役を十分以上に果たすことができる雰囲気をもってることは確かだと思う。ラストシーンで佐藤代議士が車寄せで自動車の誘導をしている。この落差が笑いを誘う。この代議士も本当は善人なのである。

 映画の中で松たか子は重要な役割を果たし、さすがに舞台で鍛えられているだけに彼女の自然な演技はうまい。しかし元愛人という雰囲気ではないと思われた。ただし、それらしくない松たか子を愛人にするほどに、国会議員としての佐藤浩市の押しが強いことを表現しているのかもしれない。純情な女性ほど押しに弱い?愛人になると度胸もすわる。松たか子にふさわしい役だ。

 篠原涼子と麻生久美子も、それぞれが適役で好感をもてた。どちらも私の好きな女優だ。麻生については、確か10代の時の映画デビュー作を見た。新鮮だった。篠原はTVドラマ「なにわ金融道」で知っている。その当時に比べて今は円熟した女優の魅力だ。他方、落ちついた奥様になった原田美枝子もよかった。原田は私と同世代。原田にも篠原や麻生と同じ若い時代があった。現在は、落ち着いた少し枯れた立ち居振る舞い。年代相応の雰囲気を私も心がけよう。

 西田敏行もいい。西田の演じる演歌歌手の精神構造は理解できる。舞台=講演は真剣勝負。その前に周到な準備をすれば、逆に本番で緊張感が減退する。もちろん原稿を読んで進行する講義・講演なら、何度も原稿に手を入れたほうがいいに決まっている。そうでない真剣勝負の緊張感。この昂揚と快感がたまらない。これは、何度か経験した人ならわかってもらえるだろう。日常はダラー--としているが、講義が始まるとシャキッとする。西田の演歌歌手の舞台と同じだ。さらに西田の肉体にも共感した。ただ単に体型が似ているだけだがーーー。

 今回の「三谷ワールド」はホテルが舞台であった。次はどこに舞台が移されるのか。私の身近な実例で言えば、大学とベトナム。私には脚本を書く能力やノウハウはないが、この両者を舞台にした人間模様の面白さは絶対に保証する。大学という権威の世界を笑いに変える。ベトナム駐在日本人の表(=ビジネス)と裏(=日常生活)のギャップも普通の人なら絶対に笑える。それにベトナム人の日本的な人情が絡んでくると必ず暖かい人間ドラマになる。

 大学を舞台にした映画は多数あると思うが、それを「三谷ワールド」で見てみたい。ベトナムを舞台にした作品としてコミック『大使閣下の料理人』がある。私は後者の映画化をやってみたいという夢をブログで書いたことがある。これを「某国」という設定でもよいので、ぜひ「三谷ワールド」で笑いにしてもらいたい。私も時間があれば、「ベトナム裏話」を記録に残しておきたい。それが映画化されれば最高だ。

 人間心理の本質を精緻に描くからこそ、それに人間は共感して、笑い、泣く、そして怒る。そのような共感を獲得する舞台や描写には人間に対する愛情があふれている。人間「性善説」だ。基本的に人間は善人。いろいろあって悪人にもなる。人々に広く支持される「三谷ワールド」の魅力の源泉はこれであると思う。 

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2006年4月 2日 (日)

ベトナム株式投資のリスク(2)

 日越経済交流センターの月刊情報誌『日越経済交流ニュース』最新号(2006年4月号)に掲載予定の拙稿を以下の添付ファイルで紹介する。このニュース全部をお読みになりたい方は、上記センターまで電話(050-5517-5386)でお問い合わせください。

 「04-2006.rtf」をダウンロード

 上記の拙稿は、べトナム株式投資に伴うリスクとその対応策について議論している。その最初は3月5日の当ブログで紹介している。

 ベトナム株式投資のリスクは次のように考えられる。①限られた流動性、②上場会社・上場予定会社への投資、③投資先企業の競争、④限られた投資機会、⑤法制度、⑥政治および経済リスク、⑦会計・監査および財務報告基準、⑧為替リスク、⑨通貨の交換および資本管理、⑩活発な流動市場の欠如、⑪社内での利益相反、⑫その他:投資機会の配分。

 ここで上記の添付ファイルに付記したいことは為替リスクである。現在ベトナム通貨ドンは、傾向的に対ドルについて下落している。したがって株価が2倍上昇しても、為替レートが2倍下落すれば、ドル建てのキャピタルゲイン(株価上昇による売却利益)が消滅する。このような為替リスクを回避する最適な方法は、ドン建てのままにキャピタルゲインを保有することである。

 この利益をベトナムで消費すれば、ベトナム政府は大歓迎である。外貨流出が伴わないからである。さらにベトナム経済の成長を考えれば、ドンの下落が上昇に転ずることが近い将来に実現する可能性は大きい。そうなれば、為替差益を獲得できる。したがって早急にドンをドルに転換して外国送金することは、必ずしも得策ではない。 

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2006年4月 1日 (土)

入学式:「知行合一」の勧め

 今日は入学式である。われわれ教員は参列するだけであるが、何回やっても新鮮な印象を受ける。勤務先の流通科学大学は「就職に強い」大学が「ウリ」であるが、最近の景気回復基調の経済情勢では、逆にその特徴が出しにくくなるという懸念がある。そこで「実学」の徹底という新しい対応を私は考えている。

 大学諮問委員会メンバーのお一人である加藤義和氏(株式会社「加ト吉」社長)の新入生に対するメッセージは、次のようなものである。「加ト吉には「知行合一」という言葉があります。良いことを知れば実行しよう。何もしなければ知らないのと同じという意味ですが、常に学ぶ心で行動するということの戒めにしています。」

 これは私の考える「実学」に合致している。知識を習得するために学習は重要である。しかし何のための学習か?行動を伴う学習。その学習が行動を促す。その行動を通じて学習する。これら相互のやり取りが「知行合一」ということであろう。こういったことを新入生に体験的に理解してもらいたいと思う。

 これらの学習の場として、基礎演習(通称、基礎ゼミ)が、昨年度までの半年間から今年度は1年間に延長された。1年間を通して、こういった学習と行動の一体化を私は訴えたいと思う。また同時に自らも実行したい。

 しかし新入学生は任意に各教員に配置される。何人かの相性の良い学生、何人かの普通の学生、何人かの相性の悪い学生が例年集まる。相性の悪い学生というのは、本来は教員側の教育的な力量で対応できるのであろうが、どうも私は苦手である。こういった苦手意識を捨てて、少し口うるさい父親という立場で学生に気楽に接してみようと考えている。

 年配の私が変わるよりも、若い学生が変わる方が簡単であるから、どうか相性の悪い学生の方から、私に合わせてほしい。その方がお互いに幸せである。どうぞ新入生の皆さん、よろしくお願いいたします。

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3月29日:深刻な大気汚染を実感

 午前中は、なじみのセオム運転手ルオンさんに頼んで、旧市街地の方面の日本語ができるインターネット店に言った。その後に、これもなじみのマイさんの本屋に行った。チャンティエン通りの路地にある本屋と言えば、おそらくご存じの方も多いと思う。よく外国人研究者が利用する。私は今年1月にWTO関係の本を依頼しておいたが、すぐに持ってきてくれた。

 このマイさんのご子息がノドの手術をしたそうである。経済大学のフン先生もノドの調子が悪いので、日本製の噴霧式の薬をほしいと言う。日本人でも、これまでに鼻の手術の経験者をホーチミン市で3名知っている。また健康診断で胸にススが付着していると注意されたハノイの日本人もいる。これは偶然とは考えられない。ベトナム都市部の大気汚染は深刻である。これは早急に対策を講じなければならない。

 経済発展にともなう公害の発生は、日本でも経験したが、その端緒がベトナムでも確実に見られる。長期的には公共交通機関の整備、当面は自動車・バイクの排ガス規制の強化などが対策として考えられる。自動車やバイクの生産・販売規制となれば、トヨタ・ホンダやその部品製造企業など日系製造企業全体の業績に大きく影響する。

 数年前にバイク部品の輸入制限があったが、これは交通事故対策が大義名分であり、その後に市内定期バスが導入された。このことを想起すれば、近い将来に政府は自動車・バイクの総量規制を導入する可能性が高い。そこで以前のように政府規制の被害者として受け身になるのではなく、日系自動車会社は率先して大気汚染対策を政府に提案することがあってよい。これが、公害を経験した日本企業の社会的責任である。ベトナム政府にとっても公害規制など初めての経験である。経済発展と公害規制を調和的に遂行する政策手法は、自動車メーカーが熟知していると思われる。

 このような政策動向を知るためには、大気汚染問題についての各省の考え方、大学研究者の発表論文、新聞・雑誌の主張を把握しておけばよい。そういった論説の中で、公害規制が強く提案されるようになれば、それは政府規制が発動される前兆と考えてよい。こういった文献で私は確認したわけではないが、今回訪越の見聞から、以上のように推論できる。

 午前中は、その後にベトナム人3名に会った。貿易大学のフォン先生、卒業生のマイさん、IT専門家のハウさんである。この中でフォン先生は初対面。私が経営学を専門にしているというので、前学長モー先生が紹介してくれた好青年である。ロンドン大学で経営学修士を取得したそうである。いずれ共同研究ができればと思う。

 1035 昼食を食べる時間もなく、ハノイからホーチミン市に移動。ホーチミン市では貿易大学分校のズン先生の妹さんティエン先生に夕食の招待を受けた。ティエン先生はシンガポールのIT専門学校の副校長をされている。お姉さんのズン先生とは日本研修でお会いし、その快活な性格が印象深かったが、妹さんも元気そのもの。同行した樫永さんも、本当に初対面なのですかと言うほどに話は盛り上がった。

 これだけの活動をすると、さすがに疲れる。ホテルに帰って服を着たまま寝入ってしまう。樫永さんには「先生は突然死するタイプですね」と言われた。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。人生、先のことは悩まない。悩んで解決する問題なら真剣に考えるべきであろうが、将来のことは不明である。「ネアカのびのびへこたれず」。悩むことがあっても気を取り直して元気に明日も楽しく仕事しよう。ダイエー創業者・故・中内功氏の従業員や学生に対するメッセージであるが、私に対するメッセージでもある。中内さん、ありがとう。

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3月28日:ハノイの定宿

 朝からジェトロ・ハノイセンター馬場さん、国民経済大学のフン先生、ユニマート会長・荒川さん、計画投資省JICA専門家・市川さんにお目にかかった。さらに日本語教師の和津田さんともお会いした。その間、昼食は、ケーキの鈴木さん、夕食は日越経済交流センターのブーバン、ソンさんと一緒であった。その後に日本ベトナム友好協会の小松さん、共同通信支局長・船越さんに偶然にお目にかかった。さらに日本料理店「紀伊」の小林さんとも比較的ゆっくりお話しできた。

 これだけ多数の方々に日本で会うことは不可能に近い。それだけハノイが都市として集中しているということである。また、こういった方々とお話をしていると、ベトナムそしてハノイに自分も長く滞在しているような気分になる。日本滞在の空白の時間が埋められる。突然の来訪にも対応してくださる旧知の皆さんに感謝である。

 フィールドスタディの私の基本立場は「定点観察」である。同じホテルに宿泊し、同じ街を歩き、同じ人々に会う。このことで以前の訪問時と現在とを結びつけながら、その間の変化を感じ取ることができる。

 私は1998年に半年間滞在した Ngoc Linh Hotel: 140 Trieu Viet Vuong を定宿にしている。このホテルは1☆であり、温水とバスタブがあるが、時々断水することがある。定点観察によれば、受付女性の英語能力が着実に低下している。これは、ほかの好条件の職場が増えてることの証拠である。朝食の定番フォーではガー(鶏肉)のメニューがなくなり、さらにチュンベットロン(孵化前のアヒル卵)も注文できなくなった。鳥インフルエンザの影響は解消していない。長男は、以前の不良少年風の態度からホテルの若旦那に立派に成長した。こういった変化を楽しむことができるのも、定宿だからこそである。

 そして何よりもこのホテルの魅力は安全(セキュリティ)である。机の上に現金を置いて外出しても紛失したことがない。忘れ物をしても、こちらから指示しなくても保管してくれている。この安心感は他に代え難い。隣には散髪屋があり、コーヒーショップやコピー屋もある。なじみのセオム(バイクタクシー)の運転手も常駐している。徒歩2分ほどで日本料理店「紀伊」がある。水やビールも近くの雑貨店で買えるし、統一公園を散歩するにも便利である。近くにインターネット店があるが、残念ながら日本語フォントが使用できない。これが最大の不便である。そうは言うものの、また次回もこのホテルに宿泊するような気がする。定宿とは、こんなものである。

 

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3月27日:ハノイの「鈴木ケーキ店」

 昨日からハノイにいる。ハイハコトブキ前社長・鈴木さんにお目にかかった。同社を昨年に退職し、Poeme(ポエメ)という手作りケーキの店を開業されている。鈴木さんを慕ってベトナム人が開店資金を用意してくれたそうである。日本人のためにベトナム人が投資する。通常では考えられないことがベトナムで起こる。

 住所:11 D Lang Ha, Dong Da. 電話:04-2.662974。場所は、ハノイのアメリカ大使館の通り。FORTUNA ホテル側である。

 1018 鈴木さんとハノイで初めてお目にかかってから10年以上の歳月が流れている。1998年のハノイ滞在中はハノイ生活の「あいうえお」を教えていただいた。(注:「イロハ」ではなく「あいうえお」という意味はアイ=愛から始まるという意味である。出所は作家の藤本義一氏。)鈴木さんほどベトナムとベトナム人を愛している人を私は知らない。
 また学生や家族も工場見学をさせていただいたり、ハノイ滞在10周年のパーティにも出席させていただいた。私にとって鈴木さん不在のハノイは考えられない。

 これまでのハイハ=コトブキ社のチェーン店としてのケーキ店と、これからの個人店としてのケーキ店では、その顧客や営業が相違して当然である。この切り替えがベトナム人従業員には理解してもらえない。鈴木さんは、ハンド=メイド=ケーキ店として品質の高級化によって差別化をしようとしている。その成果は徐々に現れており、ハノイ在住の日本人の間では「口コミ」で評判が広がり、遠くからの来店客も増えているという。

 その後、貿易大学で日本センター日本語コース主任のタム先生に面会した。さらに日越経済交流センター・ハノイ駐在所長のブーバン、ハノイゴルフクラブの室賀社長、三進交易所長の新妻さん(http://www.geocities.jp/tniizuma/profile.html)にお会いした。日本よりもベトナムが多忙で充実しているというのが本音である。

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