« 営業はスポーツ感覚 | トップページ | 就職面接は「失敗」と「お笑い」で勝負 »

2006年3月 7日 (火)

ベトナム「流通革命」の担い手

 昨日、大阪市港区のPREX((財)太平洋人材交流センター)において、JICA支援によって来日したベトナム人経営者10名の研修が開始された。研修生それぞれの日本での研修テーマについて助言したり、最初の質問や疑問に答えたりするのが私の仕事であった。

 日本PhotoのODA(政府開発援助)資金によって、ハノイとホーチミン市の貿易大学敷地内に「ベトナム日本人材協力センター」(略称:日本センター)が設立されている。そこでは日本語コースとビジネスコースが開設され、常駐の日本人専門家が、それぞれのコースをベトナム人のカウンターパートと協力して運営・指導している。写真はハノイの「日本センター」。5月に訪問したので「鯉のぼり」が飾ってある。

 今回の研修生はビジネスコース受講生の中の成績優秀者であり、2週間の予定で大阪と東京を訪問。日本企業の見学を通して、自社の経営改革に役立てるという趣旨である。

 日本のODA資金の使途は「箱物」中心という批判があったが、最近は人材育成の支援に重点が移行している。たとえば建物が竣工して、そこで支援が終了するのではなく、その建物で実施される活動まで支援する。いわばハードからソフトまでの協力である。このようなODAは人と人の交流があり、単なるモノの提供よりも両国の相互理解により以上に貢献する。

 今回の研修生は、民間企業の経営幹部ばかりであり、経営学の基礎知識や経営改革の意欲は十分である。たとえば「5S」をどうように導入するか。「1S」や「3S」から始めてはダメなのか。組織改革を予定しているが、その手順や留意点は何か。中間管理職と労働者のギャップをどのように埋めるのか。日本製品の高品質の秘密は何か。ブランドを作るにはどうすればよいか。研修生それぞれからの質問である。ベトナム人経営幹部のレベルアップを実感できた。それに英語が格段に上達している。

 この研修生の中にチュングエン(Trung Nguyen)コーヒーの副社長が含まれていた。「チュングエン」といえば、ベトナムで大成功しているコーヒーショップのチェーン店であり、東京にも出店している。ベトナムで最も注目される民間企業と言ってもよい。コーヒー豆の栽培からコーヒーショップの展開までを一貫して手がけている。ベトナムのTVで紹介されているのを見たことがある。

 「ベトナムの小売業界をベトナム人のために革新したい」。「ベトナムを愛しているから、ベトナム人の意識を変えたい」。「ベトナムは富民強国が目標であるが、そのためにどうすればよいか」。また、従業員に対して「われわれは戦争している。できれば国内市場を死守して、次は世界に向けて発展する」と社長は話しているそうである。

 5年と20年の中長期の経営計画を策定しており、コーヒーショップに続いて当面は「G7マート」というスーパーマーケットのチェーン展開を準備している。このための物流センターの建設や商品調達などの難問も多い。将来は株式市場からの資金調達も考えている。

 以上のような熱の入った話を聞くと、日本の「流通革命」の先駆者であった中内功を想起する。「チュングエンコーヒー」の成功を見て、自分もコーヒーショップを経営したいというベトナム人は多い。しかし先駆者は次のことを常に考えている。スーパーマーケットのチェーン展開については、日本に運営ノウハウが多数蓄積されている。これらの提供によって、ベトナムの「流通革命」は大きく前進するだろう。

 流通近代化は市場経済の基礎である。市場経済の発展を一般国民が実感するのは、日々の消費財の購入の時点である。ベトナム人は価格に敏感であるから、毎日の低価格での商品提供は成功するに違いない。

 なお外国流通資本については、世界の小売業大手のドイツの「メトロ」や、台湾の統一グループの「ユニマート」が、すでにベトナムに進出している。日本の「西友」はハノイから撤退した。そのほかベトナム国内資本として、いくつかの既存のスーパーマーケットがある。また、地元庶民の市場(いちば:CHO)があり、その流通経路は「華僑」が握っているとも言われている。さらに各商品ごとに総代理店・代理店(=卸売り会社)が存在し、それぞれの地域に利権をもっている。

 かつての日本以上とも思える複雑な流通市場において、果たして改革の旗手「G7マート」は、どのような活躍をみせてくれるのであろうか。成功を支援したいと思う。たとえば知的支援のみならず、「流通近代化投資ファンド」の創設である。目的別・業種別のベトナム株式投資ファンドを設立し、その有力企業を支援する。このような夢を「チュングエン」は私に与えてくれた。

|

« 営業はスポーツ感覚 | トップページ | 就職面接は「失敗」と「お笑い」で勝負 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/952266

この記事へのトラックバック一覧です: ベトナム「流通革命」の担い手:

« 営業はスポーツ感覚 | トップページ | 就職面接は「失敗」と「お笑い」で勝負 »