« ベトナム・インド・日本の創造的提携 | トップページ | 日本ベトナム友好協会・講演会開催 »

2006年3月11日 (土)

人間不信のビジネス

 ビジネスは信用が大切だと言われている。では信用とは何であろうか? 信用できる人間と信用できない人間の相違は何か?

 私の場合、時間や時刻について信用してもらっては困る。よく遅刻することがある。しかし「お金」についてはキッチリしているかもしれない。この意味で「お金」をもらう講義やセミナーでは、たとえば自動車事故発生に伴う交通渋滞といった不可抗力な原因以外は、ほとんど遅刻したことはないと思う。

 学生は信用できるか? 学生に貸した本やデジカメが未だ返却されていない。もう何年もなる。最初は返却を催促していたが、いろいろ事情もあるのかと思って、そのままになっている。このように考えると、あまり学生は信用できない。こういう先輩がいると、後輩が迷惑する。先輩のおかげで、何の罪もない後輩が信用されない。

 しかし教育ということを考えれば、学生を信用できなくても信用しなければならない時や場合がある。そもそも教員が学生を信用しなくては、学生も教員を信用しない。これでは教育それ自体が成り立たない。教員は、一方的に学生を信用してやらなければならないこともある。教育もビジネスと同様に信用が大切である。

 通常、ビジネスでは信用を前提に成り立っていると言っても、やはり初対面では信用できない。そこで契約書を書く。お互いに契約書を遵守するという信頼関係のもとでビジネスが行われる。いくら契約書を交わしたからと言っても、次の懸念は相手が逃げることである。たとえば100億円の取引契約をして、100億円を相手が持ち逃げしないかという問題である。持ち逃げしないという前提で契約するが、この持ち逃げを心配すれば、そもそも契約が煩雑になる。

 ある日本人経営者が次のように述べていた。「中国で日本企業はよくだまされるが、韓国企業はそれほどでもない。その理由は、日本企業の経営者が中国人を信用するからだ。韓国企業の場合、韓国人も中国人もお互いに信用していない。だから失敗は少ない」。「私は君を信用していない。君も私を信用する必要はない。しかしお互いの利益のために仕事したい。そこで厳密な契約書を相互に納得するまで作成しましょう」。このようなビジネスの進め方をしているのであろうか。これは当然のことである。双方が納得するまで契約書に条件を書き入れる。

 ベトナムで日本人がだまされることがある。ある日オフィスに行ってみると、パソコンから事務用品まですべてが持ち逃げされていた。これはホーチミン市の実話である。ここでは色恋い話とビジネスが混在したトラブルが頻発しているそうである。愛人のベトナム人名義でアパートを買って、そこで老後を過ごそうと思っていたら、その資金を持ち逃げされたり、ベトナム人男性からお金を要求されて拒否できない日本人女性がいたり、色恋い話に金銭トラブルはつきものである。

 こんな話を聞くと、本当にベトナムでビジネスができるのか心配になってくる。信用できる人間、しかも信用できる外国人の見分け方は難しい。結局は、上記のような詳細で厳密な契約書の作成以外に、だまされないための方法はない。

 信用するということは教育ではありえても、ビジネスではありえないと考えるべきであろう。教員がビジネスで失敗することが多い理由は、この点であると思う。たとえば大学教員が実際にビジネスで成功する場合は、周囲が祭り上げる御輿(みこし)の役割を果たす時だけのような気がする。人間不信を基調にしたビジネスと、人間信頼を基調にした教育は両立しないと考えられる。この両者を峻別できる能力や経験をもった教員がいれば、それはかなり希有な存在である。 

 

 

|

« ベトナム・インド・日本の創造的提携 | トップページ | 日本ベトナム友好協会・講演会開催 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/983097

この記事へのトラックバック一覧です: 人間不信のビジネス:

« ベトナム・インド・日本の創造的提携 | トップページ | 日本ベトナム友好協会・講演会開催 »