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2006年2月23日 (木)

ベトナム株式投資とホリエモン=ビジネス

 今回21日のハノイでは、弁護士事務所(LUAT GIA PHAM)とハノイ証券取引センター(HASTC)を訪問した。新しく発表された統一企業法や、ベトナム証券取引の実態や現状を調査するためである。

Dsc06521 弁護士事務所では、ビジネスコンサルティング部門主任のガーさん(26歳)が相談に乗ってくれた。ハノイ法科大学を卒業し、今年に修士号を取得するそうである。統一企業法が発表されているが、現在は各方面からの意見聴取の段階で、その後に修正されて6月末から7月に制定・施行される。法律では会社設立、外国企業、株式会社形態(有限責任会社、株式会社、合名会社、個人企業)や、企業の分割・合併などが規定されている。このほか1時間ほど話して、不明点は後にレポートを提出してくれることになって、料金50ドルが請求された。日本の弁護士料金は1時間に2万円ほどであるから、ベトナムにしては高い相談料と言えるかもしれない。

Dsc06531  HASTCでは、センター所長のズンさんに対応していただいた。ここでは証券市場や証券会社および証券投資顧問・運用・管理会社の設立について話を伺った。株式投資の問題点として、ベトナム国内での上場株式売買については、ベトナム証券会社に口座を開設している限り、ベトナム人・外国人、個人・法人の区別はなく、同様に取引できる。ただし外国人に対する制限や劣位性としては、外国人所有が50%未満に制限されていることである。さらにOTC(店頭)市場の売買情報が不明瞭なために外国人に不利であり、そのOTC市場の売買益は証券会社の口座を通して外国送金できない。

 ここで最大の問題は、OTC市場の未公開株売買益の外国送金である。ベトナム人は、日本人または日本企業にドル建てで送金できないが、会社間の送金は可能である。したがって友人のベトナム人にベトナム株式を買ってもらうことはできても、その売買利益を日本に送金できない。日本とベトナムの会社間の送金形態が必要である。それでは、どうすればよいか。また、どのようにしてコスト削減するか。このコストには、ベトナム法人の管理・人件費や設立資金、さらに税金も含まれる。最も低コストのビジネスモデルは何か。

 既存の法律の枠内で利益最大とコスト削減を追究する。これはビジネスでは普遍的なことである。これを実際にやってみれば、あたかもゲーム感覚である。これをやりたい。しかし法律規制がある。それでは、これはできるか。それについては法律で規制されてない。では、それにしよう。ベトナムと日本の税金はどうなっているか。日本が低いが、ケイマン諸島やバージン諸島は、さらに税制が有利だ。ではそこに会社設立しよう。それではどうするか。損益の分岐となる株式取引量はいくらか。まるでゲームである。

 おそらくホリエモンも、同じようなゲーム感覚でビジネスを考えていたに違いない。このままでは赤字決算になる。では黒字にするにはどうすればよいか。あらゆる手段を考える。ただし法律の枠内だ。当然、法律に違反しているという自覚がない。なぜ俺が悪いんだ。法律の枠内で黒字になった。これがホリエモンの論理であろう。しかし全体として、本来の企業実態である赤字を黒字化するのだから、粉飾決算という法律違反である。

 これをアナロジーで言えば、「合法的な殺人」である。個々の手段は合法的であるが、その目的と結果は殺人であるから犯罪である。個々の詳細な法律に注目しすぎると、大枠での法律違反が見えなくなる。大枠での法律違反をするために、個々の法律を遵守すれば、大枠の違法行為までも合法的と思えてくる。

 以上、ホリエモン事件の本質的な部分が見えてきたように思う。なお、ここで気がつくのは、ライブドアの顧問弁護士は何をしていたのかという疑問である。個々の法律での合法的な手段を助言する前に、どうして「それは粉飾決算だから、そもそもダメ」と言えなかったのだろうか。ビジネスをする者は、前述のように法律の枠内で利益追求とコスト削減を考えるのが習性・宿命である。これに対して、顧問弁護士や公認会計士や税理士は、法律の大局から見た助言をするのが本来の役割であろう。ベトナムで調査していて、このような感想をもった。

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