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2006年2月 7日 (火)

「実学」とは何か

 流通科学大学では「実学」が建学の精神である。

 実学とは何か。これは定義し難い。以前は「仮説を立てて実証する」ことが実学と大学で公式に定義されてきたが、最近は、「知識を知恵に変えるチカラを身につける教育」と言われている(『読売新聞』2005年12月3日全面広告)。いつの間に変わったのか明らかでないが、もともと実学の定義は明確でないのだから、いろいろな解釈があってよい。

 筆者は学生に「学んだことを実行する」ことが実学だと話している。豊富な知識があっても、それが実行されなければ、それは「宝の持ち腐れ」だという意味である。人間は、長い歴史の中で日々の生活の維持と向上のために学習してきた。もっと簡単に言えば、生活と結びついた勉強をしてきた。このような学習活動がなければ、人間は存続できなかったに違いない。これが実学ではないか。このような意味を学生に講義で筆者は伝えている。

 たとえば「料理の本」が多数あって、それを一生懸命に暗記したとしても、その料理を作らなければ、意味がない。さらに料理の食材が実際に入手できなければ、その料理は作れない。新しい「料理の本」を出版しても、その料理をだれも作ってくれなかったら、それは料理の本とは言わないだろう。それは「自己満足の本」というべきではないか。人々の現実の生活や入手できる食材を念頭においた料理を教え学ぶ。これが「実学」としての料理の教育であると筆者は思う。もちろん料理それ自体を研究するという分野があってもよいが、それは実学とは言わないであろう。それは、あくまでも理論研究である。

 具体的な講義では、たとえば「CSを知ってますか」と学生に問う。少し勉強したり、バイト先で教えられたりして、それが「顧客満足」と答える学生が何人かいる。実学的なアプローチでは、その顧客満足が本当に理解できるまで日常的に教育する。すなわち顧客満足のための基本的な考え方と方法は「顧客の立場にたって考え行動する」ことである。より一般的には、相手の立場に立って考え行動することである。「それでは皆さん、相手のことを考えて、行動できていますか」と質問する。「講義中に遅刻したり、私語したり、そういう人は顧客満足を理解できていないのではないか」。「言葉を知ってるだけでは、本当に顧客満足を理解したことにならない」。こういう話をして、筆者の考える実学を説明している。

 このように実学を考えると、かなり思想的・哲学的な内容に立ち入ることになる。実践=行動至上主義というような考え方に近づくのかもしれない。本気になって実学を追究すると、かなり奥深いことになりそうである。この実学を建学の精神としているのだから、やはり常に「実学とは何か」と学生とともに問い続けなければならないと筆者は考えている。

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