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2006年1月15日 (日)

ラオバオの現況

 ミャンマーのワウラミネから、タイのフィサヌロック・コンケン、ラオスのサバナケットを通って、ベトナム中部のクワンチ・ツアティエン・フエを結ぶ「東西経済回廊」のDsc04162建設が、ADB(アジア開発銀行)や日本のODA資金を中心にして進められている。フエから中部最大の都市ダナンまでは「ハイバン・トンネル」が、やはり日本のODAによって昨年に完成し、約1時間を要した峠越えが数分に短縮された。

 なお、この回廊について昨年、タイのムクダハンとラオス側を結ぶメコン川の橋梁建設で事故があり、日本人技術者が死亡するという不幸な出来事があった。

 この「東西経済回廊」のベトナム・ラオス国境を昨年6月に筆者は訪問した。写真は、ベトナム側ラオバオの「貿易経済特区」である。この「貿易経済特区」について、Vietnam Economic News, No.1, 2006, pp. 34-35. が特集している。以下では、この記事を紹介するとともに、現地の印象を述べてみたい。

 約20年前にベトナムとラオスの両政府は、ベトナム側ラオバオとラオス側デンサヴァンの貿易地域を最も強力な経済発展地域の一つにすることに合意していた。それを具体化する意味で、ベトナム政府は1998年11月に「ラオバオ貿易経済発展促進地区」を設定した。その後、さらなるグローバル化の進展に対応する規則に改定され、首相令によって「ラオバオ貿易経済特区」と改称された。

 面積1万5800ha・人口3万5千人と計画されている同特区は、この8年間で着実に発展してきた。今日までにベトナム国家財政から3200億ドン(約2012万ドル:1ドル=15900ドンとして計算)が60プロジェクトに支出されている。2005年において総資本額5240億ドン(約3295万ドル)・75プロジェクトが同地区に投資された(実質の投資は24プロジェクト)。

 同地区のクワンチ省の輸出入は、過去5年間で約2億5千万ドルに達しており、そのほとんどはラオバオの国境貿易である。同地区の雇用は2千名を超えている。1999年以前は、毎年約5万人がラオバオを訪問したが、2000年には8万人となり、2005年には11月末までで10万人に達した。

 ミャンマー・タイ・ラオス・ベトナムを結ぶ舗装道路の完成は、これらの国々の相互の経済関係を促進・進化させることは間違いない。特に内陸国ラオスにとっては、陸路でダナン港に直結することは魅力である。バンコックだけでなくベトナムとも陸路で原材料の調達や製品輸出が可能になる。ただし上記の掲載誌も指摘しているように、各国の法律や規制が税制が相違していることが経済交流促進の障壁となっている。

 私見では、少なくとも「東西経済回廊」の通行については、通関業務を簡略化し、さらに長距離トラック輸送のための共同施設の準備が必要であろう。道路建設を支援するADBや日本政府は、これら運用面でのソフトについても引き続き支援することが重要と思われる。たとえばラオスの首都ビエンチャンのワッタイ国際空港は、建設だけでなく空港運営システムまでも日本が支援した。これと同様に、道路建設についても、その運用のノウハウが支援されてもよい。特に国際道路については各国の利害が対立する場合もありうるので、第三国としての日本が、当事者国の利害調整しながら統一的な運行システムを提案・指導することが望ましいように思う。

 なお、昨年訪問した印象では、ベトナム側ラオバオには数軒のホテルもあったが、10万人もの観光客があるとは想像できなかった。ただしフエからラオバオの日帰り観光バスも運行しているようなので、それらの観光客を含めれば、10万人規模の観光客になるのかもしれない。またタイ人やラオス人が国境を越えて、ベトナム観光するという話も聞いた。

 「東西経済回廊」の経済効果や経済発展戦略は、今後の新しい研究テーマになりうる。この意味で、ラオバオは継続して注目すべき地点である。

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