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2006年1月14日 (土)

ベトナムと韓国を結ぶブリッジ

 1月5日付けのViet Nam News によれば、韓国のゴールデン・ブリッジ金融グループの社長であるリー・ツオン・トアン氏が、ファンバンカイ首相と面会したことが第1面で報道されていた。このリー氏を漢字で書けば「李」となる。このリー氏は、ベトナムの11世紀から13世紀のリー王朝の末裔と言われている。

 彼の金融グループ傘下の韓国ブリッジ証券会社は、ベトナムの証券会社と業務提携をしている。また、韓国にベトナム人青年を招聘し、大学まで奨学金を給付するなどの社会貢献をしている。これらのことは韓国証券界では周知である。

 ベトナムと韓国の関係は、ベトナム戦争に韓国軍が参戦したことから、良好とは思われないのが一般的であった。しかし、アセアン+3カ国首脳会議が1998年末にハノイで開催された時に、当時の韓国大統領・金大中氏が、「両国には過去に不幸な時期があった。遺憾に思う」という謝罪の言葉を、ベトナム政府が要求したわけでもないのに、自ら述べた。ベトナムに対する韓国の友好的な姿勢を表現している。

 すでに韓国は金宇中を総帥とする大宇グループを筆頭にして、ベトナム投資を積極的に進めていたが、1997年から始まる金融危機とIMF改革によって、その大宇財閥が韓国本国では解体された。しかしベトナムにおける大宇は、大宇ホテル、GM大宇自動車、大宇ハネルなどグループから分離されたが、個々の企業としては健在である。現在、総帥・金宇中氏は経済犯罪で収監されているが、今年中には釈放されると見られている。その後、ベトナムで大宇グループが再起するという可能性もある。

 ベトナムと韓国は戦争の歴史をもつが、それだからこそ韓国人のベトナムに対する思いも熱い。戦争に対する贖罪として、ベトナムに友好的な態度をもつ韓国人も多いと聞く。冒頭で紹介したブリッジ証券のリー氏は、まさにその象徴的な人物であろう。現在のベトナム証券市場は、ちょうど韓国証券市場の1970年代に相当するとみなされる。その韓国証券界は、IMF改革を経て「透明性」や「説明責任」といったことが強調されるようになったが、それまではインサイダー取引などが横行していたと言われている。

 果たしてベトナム証券市場は、どのように発展するのであろうか。このシナリオを想定する場合に、韓国の経験は役立つことになるであろう。ベトナム証券取引センターは、もともと日本の証券業界が支援する予定であったが、1990年代からの日本のバブル崩壊によって、野村を始めとする大手証券会社の積極的なベトナム支援が不可能になった。そこで韓国証券取引所がコンピュータのシステム導入などを支援した経緯がある。

 ベトナム株式投資に関心が高まっているが、韓国でも同様の動きが想像される。アジアに国境はなくなっていることを実感させられる。

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