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2006年1月26日 (木)

ホリエモン逮捕:学生のコメント

 本日、筆者が担当している講義の期末試験を2つの大学で実施した。科目名は、神戸市外国語大学で「企業経営特殊講義Ⅱ」、本務校の流通科学大学で「企業論」である。

 この共通問題として「ライブドア前社長・堀江貴文(ホリエモン)氏の逮捕についてコメントしてください」と出題した。こういう問題に正解はないから、いわば得点を与えるためのサービス問題の意味がある。合計73名の解答の中で、以下で興味深いコメントを抜粋し、それをコメントする。

 「人生お金だけではないと思います」⇒これはベトナム人がよく言うセリフである。お金は大事だけど、もっと大事なものがある。建国の父であるホーチミンは「自由と独立ほど尊いものはない」という有名な宣言をした。他方、某女優は「よーく考えよう。お金は大事だよ」とTVで宣伝していた。しかし彼女の本音は「愛と男が大事だよ」というのかもしれない。人間にとって大切なのは、お金だけでないことは確かである。では何が大事か。

 「もうホリエモンがTVで見られないのは残念です」⇒最初はホリエモンがTVを自社PRのために利用していたのだろうが、その後はTVがホリエモンを利用したように感じる。マスコミは多くの場合、大衆に迎合するから、逮捕の前と後のホリエモン評価の乱高下が激しい。不祥事が発覚した多くのタレントも、しばらくしてTVに復帰している。政治家もそうである。このように考えれば、ホリエモンのTV復帰もありうると思う。このようなマスコミ=TVの現状が今のままでよいのか。

 「人間として最低であると思う」⇒厳しい批判。大学生だからしかたがないと思うが、ホリエモンよりも最低の人は、もっともっといる。では最低の判断基準は何か。ここから議論・定義しなければならない。そうすれば「人間として最高」も理解できる。ここでも、人間や人生にとってお金がすべてでないことは確かである。

 「自己中心的な人なので批判もされていたが、個人的には尊敬していた。逮捕はショックだった」⇒ホリエモンがもつチャレンジ精神や向上心は、多くの共感を引き起こしても不思議でない。「時価総額世界一」という大きな目標には従業員・株主のみならず、ホリエモン自身が酔っていたのではないか。酔っぱらいは、道を踏み外すこともある。先日のブログで筆者は、藤綱久二郎とホリエモンを比較したが、ホリエモンは政権与党からの応援を受けて国会議員になる野望ももっていた。この意味で、けっして彼は反体制の人間ではなかった。体制側になりたかった人物である。天下の三菱グループ企業全体を敵に回す勇気と覚悟をもった藤綱とは、既存の体制もしくは権力に対する態度・覚悟が異なっているように思われる。ここでも人間の生き方が問われている。

 「CSR(企業の社会的責任)に対する意識が欠けていたのではないか」⇒筆者の講義における模範解答である。今日の日本企業はCSRを強調し、少なからぬ企業ではCRS事業の専門部署をもっている。しかしCRSは直接的・短期的に利益向上に貢献しないので、その推進には抵抗も大きい。この現状を改善するためには、国民の意識向上が不可欠である。CSRにより熱心な企業について、その商品がよく売れる、就職の人気が高い、同業他社に比較して株価が高い、より高い社会的評価およびブランド価値がある。このような社会風土をもつ国に日本が変われば、CSRは促進され、それが世界からも尊敬されるであろう。それにしてもホリエモンはCSRについて、どのように考えていたのであろうか。最低限のCSRは、企業のコンプライアンス(法令遵守)である。

 以上、学生の答案の一部を紹介した。試験は一時的・通過的なものであるが、上記のような議論の論点は、われわれが持続的・恒常的に考えなければならないことである。

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