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2006年1月28日 (土)

大学の差別化戦略

 1月28日と29日は、勤務先の流通科学大学の入学試験である。その後、昔の言葉で言えば「特待生」のための試験が2月9日と10日にある。この特待生になれば、奨学金として年間100万円または50万円が給付される。筆者は他大学の入学試験制度に詳しくないが、このような給付制度は普通に多数の大学で行われている。

 少子化が進行している状況下で大学間の競争が激化している。この競争手段として、上記のような奨学金給付や授業料減免という金銭的な誘因で受験生を増やそうとすることは当然である。しかし企業競争においては、このような「価格競争」は競争企業間の「共倒れ」もしくは「体力勝負」ということになる。一般の競争戦略では、このような競争状態を回避するために、個々の企業が自社の特徴を顧客に訴求する「差別化戦略」の採用が主張される。

 それでは、大学の差別化戦略は何かということである。伝統・実績・歴史は有力な差別化要因であるが、それだけに依存して、大学それ自体が面白くなければ、受験生にとって不幸である。自由な時間を過ごすことができる大学生活は、長い人生にとって貴重である。その自由な時間を有意義に面白く過ごせる大学は絶対にお勧めである。このような大学時代を送った学生は、その体験を通して、社会人としての重要な事柄を何か学んでいるはずである。その結果として就職も有利になる。

 大学生は授業料を払って「自由な時間」を購入している。これは、どのような大学にも共通している。大学の競争市場は、授業料そのものではなくて、その次の「自由な時間」の使い方なのである。大学は「自由な時間」を販売している。この時間が楽しく有意義ならば、より高額の授業料を払っても受験生は来るはずである。

 そうは言うものの受験生は、自らが購入した「自由な時間」の使い方を入学当初は知らない。ここで丁寧に使い方を指導することが重要になってくる。ただし、かつてのように「勉強は大事だ」というだけでは指導にならない。「自由な時間」という商品の使い方を顧客に応じて、丁寧に「提案」するのである。本当に顧客=学生の立場で考えれば、場合によっては転学や進路変更という結論になってもよい。

 以上、これからの大学は、顧客=学生の多様な要望に対する「ソリューション(問題解決)ビジネス」と考えられる。これを可能にするためには、昔から指摘されているような「木目の細かい指導」というのではない。これは、あたかも店舗にフラッと入って商品を自分で探しているのに、すぐに店員が近づいてきて「これがお勧め」と言われるようなものである。これは、うっとうしい。今の言葉で言えば、ウザイ。こういう店での買い物はしたくない。

 常に学生に注目し、さりげなく要望を聞き、さりげなく的確な提案をする。その商品の購入(自分のやりたいことを見つけた)後も、アフターサービス(助言や相談)は当然であり、場合によっては返品(コース変更)もできるし、場合によっては競争相手の店舗(他大学や専門学校)も紹介する。学生の立場に立って、学生のための提案・指導体制が整備されている大学が、現在の学生にとって魅力ある大学ではないか。

 このような大学であるための重要点は、会社経営と同じである。顧客と直接に接する社員の質を高めることである。大学の教員と職員がどのような人間であるか。これが重要である。顧客にとって、お店の内装や品揃えも重要であるが、商品購入を決める要点は従業員の人間的な魅力であろう。これからの大学にとって、わたしたち教員の個人個人の責任は重い。これが大学の差別化戦略の基礎であると思う。

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